目醒め(2022.5.5)
文字数 260文字
ほんの
少しだけ
優しさを
分けて下さい
改札を
出たら
声を
かけられた
募金箱を
持たない
黒髪の少女は
泳ぐ目を
捕らえて射抜く
ほんの
少しだけ
優しさを
分けて欲しいのは
僕のほうです
思わず口にすると
ぽっかり
足元に
大きな穴が開いた
でも
なぜか
落ちない
少女は
小さく頷き
長い髪を揺らして
代りに
落ちた
これから
生活のために
老いた人を騙し
傷つけるはずだったけど
急に
怖くなって
改札に戻る
与えられた
スマホは
ゴミ箱に捨てて
逃げることにする
少女がくれた
とても
大きな
優しさを胸に
どこまでも
電車に飛び乗り
膝に手を置いたら
少女が
仏壇の母と
重なった
少しだけ
優しさを
分けて下さい
改札を
出たら
声を
かけられた
募金箱を
持たない
黒髪の少女は
泳ぐ目を
捕らえて射抜く
ほんの
少しだけ
優しさを
分けて欲しいのは
僕のほうです
思わず口にすると
ぽっかり
足元に
大きな穴が開いた
でも
なぜか
落ちない
少女は
小さく頷き
長い髪を揺らして
代りに
落ちた
これから
生活のために
老いた人を騙し
傷つけるはずだったけど
急に
怖くなって
改札に戻る
与えられた
スマホは
ゴミ箱に捨てて
逃げることにする
少女がくれた
とても
大きな
優しさを胸に
どこまでも
電車に飛び乗り
膝に手を置いたら
少女が
仏壇の母と
重なった