すとんとずどん(2022.2.20)

文字数 316文字

すとん
と落ちる
音が
した

肚落ち
した
音だ

ずどん
と落ちる
音が
した

滑り落ちた
雪の
音だ

ずどん
では
重すぎる

すとん
なら
腹八分目

すとん
すとん

おとん

おかん

言われたことが
同じ年齢になって
ようやく
肚落ち
するようになった

ずどん
と心を撃ち抜く
強さに憧れ
反発し
聞こえぬふりをしていたのに
大事なことは
どこかに積もり
時がくれば
ゆっくりと
落ちるのだろう

人生は
劇的でなく
小さな
積み重ね

おはようと言われて
嫌な顔する人はいない
ありがとうと言われて
怒り出す人はいない
脱いだ靴は揃える
酒に飲まれるな

父親として
息子達に
小言を繰り返す

礼を
言いたくても
おとん

おかん

もういない

ずどん
ではなく
すとん

礼を
言われたくて
おとん

おかん

言った訳ではないのだ
きっと

また
すとん

音がした
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