嘘つきと青い猫(2023.2+α)

文字数 545文字

昨日、青い猫を見たの
君が平然と嘘つきになるので
僕は一昨日見たよ
と嘘つきに嘘をつく
嘘、どこで?
それは言えない
僕は秘密主義者なのだ
赤い猫もいた
青の上を行く嘘をついたら
猫のような目で睨まれる
私、赤は見たことないな
気づけば鼠になっている
君はどこで見たの?
今度紹介してあげる
君は秘密主義者ではないらしい
黄色はいなかった?
黄色はいなかったけど
紫はいたよ
君の頬が紅みを増す
優しい暴力をふるいながら
次は何色にしようか考える
あっ
短い叫び声に背筋が立つ
ほら、後ろ
慌てて振り返る
今、あなたの後ろを青い猫が走り抜けたわ
姿は見えない
ものすごく速いの、青は
どうした訳か、嘘には思えない
ほら、そこ
えっ、どこ?
僕は必死になって青い猫を探すが
見つけられない
嘘つきね
嘘つきに嘘つき呼ばわりされる
あなたには青い猫が見えない
すぐそこにいるのに見えない
青い猫を見たというから紹介しようと思ったのに
あなたには見えない
見えないのに
見たと嘘をついた
だから、あなたは嘘つき
君は座り込み何かを撫でる
そこにいるのか?
青い猫は嘘つきには見えないの
嘘つきにはっきりと言われる
僕は嘘つきではなく 
嘘が下手なのだ
だから
どこで? 
と聞かれても濁すことしかできなかった
君のように
ほんとうの嘘つきになれたら
青い猫が見えるのだろうか?
できれば僕は
赤い猫が見たい
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