秋の夕暮れ(2022.10.18)

文字数 307文字

残業続きで
休みの日は
できるだけ
長く 
深く眠り 
夏は過ぎて行った

夏に
眠り過ぎたのか
秋になったら
休みの日も
眠れなくなった


歩けば眠れる
と言われて
嫌々ながら
散歩に出掛ける


二分後
金木犀の香りに
気づく

毎朝毎晩
駅へ向かう道なのに
鼻は閉じていたのだろうか?

川沿いを
進むと
ススキと
コスモス

秋の気配が
身近に溢れているのに
何ひとつ
感じなかった


足早に
日が暮れる

夕陽も
秋時間なのだ


久しぶりに
夕焼けを見たら
生まれて初めて
手を合わせたくなり
願いも
祈りもないのに
目を瞑る


大きな
虫の音が
耳に飛び込む

負けじと
腹が鳴る

僕は
生きることを
忘れて
生きていたようだ

御礼に
なにか美味いものを
買って帰ろう


振り向くと
妻が
立っている

どうやら
心配して
後を
つけてきたらしい
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