へいこらサン(2022.8.17)

文字数 566文字

へいこらサンは 上下関係でしか ものごとを見ないから 僕たちには威張るのに 偉い人にはへいこらする へいこらしたのを 僕たちに見られて 余計に威張り散らすのは 口止めのつもりなのかもしれないが 僕たちは 見ざる聞かざる言わざるの猿真似で誤魔化し 決してへいこらしない へいこらサンは 僕たちから へいこらサンと呼ばれているなんて 夢にも思っていない だから 何も知らずに威張り続け 偉い人に取り入って 望みどおり 肩書きが立派になったのに 誰もへいこらしないから みんな言うことを聞かないと嘆く へいこらサンは 威張ることをやめて 僕たちにもへいこらするようになり 偉い人になるまで威張った分 部下にへいこらしなければならない へいこらできる人は偉くなり へいこらできない人は偉くなれないのか へいこらサンが悲しいのは ずっと へいこらしなければならない運命だから でも へいこらサンは 威張る人から謙虚な人に 変わりつつある つまり 実るほど頭を垂れる何とやらだ 最近 僕たちは へいこらサンを少しずつ好きになり 気が向いたら 時々 会釈するようになった もちろん 会釈であって へいこらではない へいこらサンも 会釈でいいのに 相変わらず へいこらするから なんだか 切なくなった へいこらサンは 意外と いい人なのかもしれない
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