二人の大きな少年(2021.1020)

文字数 408文字

ランドセルが
小さく見える
大きな少年は
いつも
一人で歩いている

周りは
二人や三人で
身を寄せ合い
大笑いして
楽しそうなのに

僕も
小学生の頃は
背が高くて
ランドセルが
似合わない少年だった

電車に
小人料金で 
乗ると
駅員から疑われるような

彼は
どうして
一人なのだろう

仲間外れに
されている
ようには見えない

むしろ
堂々としている

とても気になるのだが
声を掛けて
聞く訳にもいかない

土曜日の昼過ぎ
母親と
嬉しそうに
並んで歩く
彼を見かけた

授業参観だったようだ

少年は
背の高い母親と並ぶと
まぎれもなく少年で
小さな友と歩く時と違って
ランドセル姿が
とてもかわいらしく見える

みんなの前では
気取っているだけなのかもしれない

たぶん
一人で歩いていることに
意味なんてないのだ

何だか
安心する

母親を見れば
少年がまだまだ伸びることは
間違いない

小学生で
成長が止まった元少年は
少し嫉妬する

あと
一年もすれば
追い越されるだろう

大きな少年だった僕は
今となれば
小さな中年だが
しぶとく生きている
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み