酔っ払いの朝(2022.10.29)

文字数 571文字

二日酔いで
ふらふらして
家を出たら
バス酔いして
くらくらしながら
電車に乗り
座ったら
舟を漕ぎ
随分と
乗り過ごす

 体調が
 悪いので
 今日は
 休みます

後輩の
部長に
メールする

 大丈夫ですか?
 元々、休みの予定でしたよね
 予定も忘れるくらいに
 体調が悪いのですか?

そうか
そうだった

今日が休みだから
昨晩は
いつもより深酒したのだ

飲み過ぎて
眠れずに
休みであることも
忘れて
家を出たなんて

いくらなんでも
飲み過ぎだ

 失礼しました
 大丈夫です
 しっかりと休みます

見知らぬ駅で
下車して
コンビニで
ビールを買い込み
誰もいない公園のベンチで
飲み始める

ふらふらも
くらくらも
なくなる

 おじさん
 おはよう

ランドセルを背負った
男の子が二人
ブランコを
立ち漕ぎしながら
挨拶してくれる

 グッド
 モーニング

赤ら顔で
返事をすると

 やばい
 逃げろ

二人して叫び、笑い
全力で駆け出す

どうやら
不審者と
思われたらしい

いや
からかわれた
だけかもしれない

 馬鹿に
 すんなよ

独り言して
揺れ続けるブランコに
立ち乗りしよう
としたが
立つことすらできない

どう考えても
飲み過ぎだ

我ながら
不様で
笑いが止まらない

ベンチに戻ると
残ったビールを
地面に流す

空を見上げれば
雲一つない
いい天気で

ゆっくりと
目を
閉じる

ひと寝入りしたら
再び
挑むのだ

今度こそ
立ち乗り
してみせる

いや
どうせなら
立ち漕ぎまで

大きな欠伸で
涙目になって
ふたたび
舟を漕ぎ始める
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