老人の詩(2022.5+α)

文字数 242文字

老人は
老人と
呼ばれ
老人扱い
されるのが嫌で
町を出た

辿り着いたのは
老人ばかりの町

誰も
老人を
老人と
呼ばない

誰も
老人に
年齢を
聞くこともない

老人は
老人ばかりの町が
心地良すぎて
茹で老人なってしまう
と思った

老人は
町を
出ることにした

老人は
一人で
生きると決め
山奥に
小屋を建てる

日々は綱渡りで
見る見る痩せて
顔は日焼けで黒くなり
体は垢まみれに

生きるのに
必死で
老人は
老人であることを
すっかりと忘れて
人間に成る

人間として
生きること
二年半

誰にも
看取られることもなく
良い人生だった
と笑って
一匹の人間として
朽ち果てた
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