真夏日の秋(2021.10.10)

文字数 223文字

十月に入り
歳を一つ重ねた

秋に生まれたはずなのに
半世紀後は
真夏日で
半袖のポロシャツを着て
汗を拭きながら歩く

服屋には
秋冬物が並び
スーパーでは
秋刀魚、栗、松茸を見かける

暦と
季節と
気候が
ずれて
ゆがみ
身体と
心は
振り回される

せめて
気分だけでもと思い
吸い物の粉末と
エリンギで
松茸風の炊き込みご飯を作った

本物には
手が出せないから
風味で我慢する

鼻から
口へと
秋を感じる

本当は
松茸ご飯を
最後に食べたのが
いつなのかも
覚えていないのだ

真夏日の秋には
本物より
偽物が
良く似合う
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