本を読む(2022.9.26)
文字数 229文字
いつもの
単行本を
手にして
家を出る
地下鉄の
ベンチで
付箋だらけ
赤線だらけの
物語を開く
目の前を
人が
行き来する方が
一人に
なれるのだ
何度読んでも
懐かしく
何度読んでも
新しい
隣りに
座った
少女が
紫のハンカチを
差し出す
僕が
思い描いた
主人公だ
この世に
現れた
のか
僕が
本の世界に
入り込んだ
のか
どちらなのか
分からないが
とにかく
涙が止まらない
いつも
ありがとう
ハンカチを
受け取ると
少女は
優しく笑んで
うっすらと
消えて行く
しかし
手にした
紫のハンカチは
消えない
僕が
残された世界は
どちらなのだろう
単行本を
手にして
家を出る
地下鉄の
ベンチで
付箋だらけ
赤線だらけの
物語を開く
目の前を
人が
行き来する方が
一人に
なれるのだ
何度読んでも
懐かしく
何度読んでも
新しい
隣りに
座った
少女が
紫のハンカチを
差し出す
僕が
思い描いた
主人公だ
この世に
現れた
のか
僕が
本の世界に
入り込んだ
のか
どちらなのか
分からないが
とにかく
涙が止まらない
いつも
ありがとう
ハンカチを
受け取ると
少女は
優しく笑んで
うっすらと
消えて行く
しかし
手にした
紫のハンカチは
消えない
僕が
残された世界は
どちらなのだろう