第94話 陰謀を阻止せよ
文字数 1,687文字
『ねぇ、これ何?どーゆーこと?』
愛羽が目覚めた次の日、藺檻槐がSNSに載せた例の書き込みを見つけた。それを見つけた蓮華の一言目だった。
『暴走侍って咲薇ちゃんのチームだよね?』
病院には愛羽の復活の連絡を受け一同が集まっていた。
『って、なんだ咲薇が白狐って…はぁ!?なんだよこれ!!』
麗桜も内容を見て目を見開き大声をあげた。
その書き込みをした人物が誰かは分からなかったが、SNS上ではもうすでに異様な程盛り上がっていた。
みんなあまりのバカげた内容になんの言葉も出なかった。
1番深刻な顔をしていたのは咲薇だった。当然だ。自分はチームにケジメでボコボコにされ危うく白狐にも斬られてしまう所だったのに、白狐をかくまっているのが萼たち暴走侍でその正体は咲薇だとなったらもう訳が分からない。
この書き込みのせいで暴走侍をめぐって少なくとも不死鳥や陽炎朱雀が動くだろう。そうなればもはや戦争だが暴走侍の負けは確実だ。京都や兵庫を背負う不死鳥と陽炎朱雀に対し、暴走侍はそもそもそんなに大きいチームではない。そんな所に居合わせてしまったら自分たちもただでは済まない。明らかに何者かの陰謀を感じた。
まだ目を覚まさない綺夜羅の部屋でそんな話をしていると、そこに別の部屋で眠っていた豹那が不機嫌そうな顔でやってきた。
『豹那さん!もう平気なの!?』
『…あぁ』
蓮華に言われて豹那が問題などないとでも言うように話を流したが瞬は騙されなかった。
『大丈夫な訳ないでしょ。八洲さん程じゃないにしたって君も相当やられたはずだよ?立ってるのがやっとのはずでしょ。まだ寝てなきゃダメだよ』
『うるさいね。あたしのことに口出すのやめてくれるかい?それより、今の話はなんだい?』
どうやら豹那が言っているのは槐の作った書き込みのことのようだが、負傷している彼女に伝えるべきではないと思いながらも今この場で話を隠したりごまかすことはできず一同は全てを話した。
豹那はそれを聞いて書き込みをしたのが槐だと確信した。
『あのくそガキの仕業だね。どこまでもふざけた奴らだ』
より不機嫌そうな顔で眉間にしわを寄せると瞬の方に向き直った。
『…おい雪ノ瀬、お前あの痛みがなくなる薬だかなんだか、持ってないのか?あるならあたしにそいつをよこせ』
『…どーゆーこと?一応もしもの為に持ってあるにはあるけど』
『決まってるじゃないか、あのガキ共をぶっ殺しに行くんだよ』
その言葉からやはり豹那の体はかなり厳しい状態らしいことが分かった。愛羽たちが知っている緋薙豹那からすれば、かなりプライドを捨てた言葉だ。
『そんな、バカじゃないの?いくらあの鎮痛剤でもケガを治す訳じゃないんだよ?そんな体でこれ以上無理させる訳にはいかないよ』
瞬は豹那の要求を強く拒否した。
『くそっ!』
豹那は悔しそうな顔をして出ていってしまった。やりきれないという思いがみんな分かったが、今まで蓮華でさえ彼女のそんな顔は見たことがなかった。
それから少し重い空気が続いたがそれを察した蘭菜が話を戻し進めようと声を出した。
『とりあえず、これについてどうするのか決めましょ。このまま行くと争わなくていい人たちが争って、事態はどんどん悪化していく一方よ』
『暴走侍って咲薇ちゃんを囲んだ奴らだよ?そんな奴ら放っといて咲薇ちゃんだけを守れるように考えればよくない?』
掠から見たら全員敵だが咲薇や愛羽たちからしたらそうではない。
『それじゃなんの解決にもならない。いずれ咲薇ちゃんが狙われなきゃいけなくなることは変わらないし、イデアさんやその浬さんって人にもちゃんと誤解を解いて分かってもらわないと』
みんなで話し合っても結局こうすればいいという答えなど出てはこなかった。
『とにかく、なんとかしないと意味のない抗争をさせられて誰かがそれを影で操って笑う訳ね。あの刑事さんも言ってたわね、そうなれば最悪だって。きっとみんな殺される位なら殺すつもりで臨むはずよ。困ったわね…』
蘭菜が言うと愛羽が立ち上がった。
『あたしちょっと行ってくる。誰か単車貸して!』
愛羽は1人動き始めた。
愛羽が目覚めた次の日、藺檻槐がSNSに載せた例の書き込みを見つけた。それを見つけた蓮華の一言目だった。
『暴走侍って咲薇ちゃんのチームだよね?』
病院には愛羽の復活の連絡を受け一同が集まっていた。
『って、なんだ咲薇が白狐って…はぁ!?なんだよこれ!!』
麗桜も内容を見て目を見開き大声をあげた。
その書き込みをした人物が誰かは分からなかったが、SNS上ではもうすでに異様な程盛り上がっていた。
みんなあまりのバカげた内容になんの言葉も出なかった。
1番深刻な顔をしていたのは咲薇だった。当然だ。自分はチームにケジメでボコボコにされ危うく白狐にも斬られてしまう所だったのに、白狐をかくまっているのが萼たち暴走侍でその正体は咲薇だとなったらもう訳が分からない。
この書き込みのせいで暴走侍をめぐって少なくとも不死鳥や陽炎朱雀が動くだろう。そうなればもはや戦争だが暴走侍の負けは確実だ。京都や兵庫を背負う不死鳥と陽炎朱雀に対し、暴走侍はそもそもそんなに大きいチームではない。そんな所に居合わせてしまったら自分たちもただでは済まない。明らかに何者かの陰謀を感じた。
まだ目を覚まさない綺夜羅の部屋でそんな話をしていると、そこに別の部屋で眠っていた豹那が不機嫌そうな顔でやってきた。
『豹那さん!もう平気なの!?』
『…あぁ』
蓮華に言われて豹那が問題などないとでも言うように話を流したが瞬は騙されなかった。
『大丈夫な訳ないでしょ。八洲さん程じゃないにしたって君も相当やられたはずだよ?立ってるのがやっとのはずでしょ。まだ寝てなきゃダメだよ』
『うるさいね。あたしのことに口出すのやめてくれるかい?それより、今の話はなんだい?』
どうやら豹那が言っているのは槐の作った書き込みのことのようだが、負傷している彼女に伝えるべきではないと思いながらも今この場で話を隠したりごまかすことはできず一同は全てを話した。
豹那はそれを聞いて書き込みをしたのが槐だと確信した。
『あのくそガキの仕業だね。どこまでもふざけた奴らだ』
より不機嫌そうな顔で眉間にしわを寄せると瞬の方に向き直った。
『…おい雪ノ瀬、お前あの痛みがなくなる薬だかなんだか、持ってないのか?あるならあたしにそいつをよこせ』
『…どーゆーこと?一応もしもの為に持ってあるにはあるけど』
『決まってるじゃないか、あのガキ共をぶっ殺しに行くんだよ』
その言葉からやはり豹那の体はかなり厳しい状態らしいことが分かった。愛羽たちが知っている緋薙豹那からすれば、かなりプライドを捨てた言葉だ。
『そんな、バカじゃないの?いくらあの鎮痛剤でもケガを治す訳じゃないんだよ?そんな体でこれ以上無理させる訳にはいかないよ』
瞬は豹那の要求を強く拒否した。
『くそっ!』
豹那は悔しそうな顔をして出ていってしまった。やりきれないという思いがみんな分かったが、今まで蓮華でさえ彼女のそんな顔は見たことがなかった。
それから少し重い空気が続いたがそれを察した蘭菜が話を戻し進めようと声を出した。
『とりあえず、これについてどうするのか決めましょ。このまま行くと争わなくていい人たちが争って、事態はどんどん悪化していく一方よ』
『暴走侍って咲薇ちゃんを囲んだ奴らだよ?そんな奴ら放っといて咲薇ちゃんだけを守れるように考えればよくない?』
掠から見たら全員敵だが咲薇や愛羽たちからしたらそうではない。
『それじゃなんの解決にもならない。いずれ咲薇ちゃんが狙われなきゃいけなくなることは変わらないし、イデアさんやその浬さんって人にもちゃんと誤解を解いて分かってもらわないと』
みんなで話し合っても結局こうすればいいという答えなど出てはこなかった。
『とにかく、なんとかしないと意味のない抗争をさせられて誰かがそれを影で操って笑う訳ね。あの刑事さんも言ってたわね、そうなれば最悪だって。きっとみんな殺される位なら殺すつもりで臨むはずよ。困ったわね…』
蘭菜が言うと愛羽が立ち上がった。
『あたしちょっと行ってくる。誰か単車貸して!』
愛羽は1人動き始めた。