第60話 あなた何型?
文字数 1,516文字
『はい…なんだい蓮華、こんな時間に。あたしに会えなくて寂しくなっちまったのかい?ふふ。まさかお前まで刑務所迎えに行く時はなんて言って出迎えてあげたらいいかなんて、クソみてーな質問ぶつけるつもりじゃないだろうねぇ…え?血液型?あたしかい?お前今までこのあたしの血液型も知らなかったのかい?O型さ、RH-のね。一体なんなのさ…え?血がいるって、それ…どーゆーことだい?』
『~ん、なんだぁ~?おぉ~、麗桜ちゃんじゃねぇかぁ~…おい、まだ4時だぜ?どうしたってんだよ、こんな時間によ。まさかまたどっかともめてやがんのか~?勘弁してくれよ、まだ3分の2は夢の中なんだからよ~。え?ちょっと懐かしい夢見てたんだよ。つーかお前も片想いの相手ムショに迎えに行って熱い愛の告白しようなんて言い出すのか?ははは、全くお前ら小田原人はつくづく素敵な人生送ってやがってよ。羨ましいぜ。え?なんだ?あぁ、あたしは間違いなくO型のRH-だぜ?おうよ。あ?…なんだよそれ。もっかい最初っから聞かせてくれ!』
『もしもし、はいお久しぶりです。この間は泪のお見舞いに来てくれて本当にありがとうございました。みなさんお元気ですか?はい、あたしですか?O型ですけど…はい、RH-です。どうして?え?月下さんが?…咲薇さんって、風矢さんですか?…えっ?暁さんが?はい…はい…あ、すいません。またすぐ折り返します!』
雪ノ瀬瞬は七条琉花と龍千歌と共に都河泪の病院に泊まり込んでいた。先週から瞬の意見で一般の病室から家族が泊まれる少し広い部屋に泪は移動されている。24時間側にいてあげられるようにだ。
こんな時間に瞬が声を高くして電話しているので琉花も千歌も目を覚ましてしまった。
『どうかしたのか?』
『うん。八洲さんから電話だったんだけど』
様子が気になって千歌が訪ねると瞬は溜め息混じりに振り返った。
『あぁ、玲璃ちゃん?珍しいね。愛羽っちじゃなかったんだ?』
八洲と言われて一瞬考えたが琉花はすぐに金髪のショートカットを思い出した。
『それが、この前一緒に走りに行った月下さんが大変らしいの』
『大変って?』
『風矢さんって大阪の子がね、向こうで暴走族をやめようとしてケジメを取られてたみたいなんだけど、その場に月下さんが助けに入ったらしいの。そしたらいきなり現れたまた別の全然関係ない何者かに刀で斬られたって』
『…刀で?』
『ずいぶん物騒だな』
『それで結構出血がひどいらしくて、でも病院に輸血できる血液が足りないみたいで。今暁さんが病院に駆けつけて採血したらしいんだけどまだ全然足りないんだって』
『何型が必要なんだ?』
『O型。RH-の』
『なんだ。じゃあ瞬と一緒じゃん』
『うん。そうなの』
何故か瞬は浮かない顔をしている。
『何よ。どうしたのさ』
『いや、なんて言うか、なんか嫌な予感がしてたんだよね』
『嫌な予感?』
『うん…やっぱりあたし行かなきゃいけなかったんだ。2人も一緒に来てくれる?大阪』
『あぁ』
『もちろんでしょ』
『…あと、念の為にステロイドと鎮痛剤も用意してくれる?』
その言葉に2人は驚いていた。
あの日から瞬はもうドーピングをしていない。今後もう2度とすることもないかもしれないと思っていただけに軽い返事ができなかった。
『それ本気?まさか、戦争でも起きる訳じゃあるまいし』
『いつどこで何が起こるかは分からないから』
どうやらジョーダンではないらしい。そうなると2人もそれなりに心構えが必要になってくるが答えが出るのは早かった。
『上等じゃん。久しぶりのお出掛けだね。ワクワクする』
『ただし瞬。何があっても無理はしないでくれ』
『分かってる…』
3人はすぐに大阪へ行く準備をした。
『~ん、なんだぁ~?おぉ~、麗桜ちゃんじゃねぇかぁ~…おい、まだ4時だぜ?どうしたってんだよ、こんな時間によ。まさかまたどっかともめてやがんのか~?勘弁してくれよ、まだ3分の2は夢の中なんだからよ~。え?ちょっと懐かしい夢見てたんだよ。つーかお前も片想いの相手ムショに迎えに行って熱い愛の告白しようなんて言い出すのか?ははは、全くお前ら小田原人はつくづく素敵な人生送ってやがってよ。羨ましいぜ。え?なんだ?あぁ、あたしは間違いなくO型のRH-だぜ?おうよ。あ?…なんだよそれ。もっかい最初っから聞かせてくれ!』
『もしもし、はいお久しぶりです。この間は泪のお見舞いに来てくれて本当にありがとうございました。みなさんお元気ですか?はい、あたしですか?O型ですけど…はい、RH-です。どうして?え?月下さんが?…咲薇さんって、風矢さんですか?…えっ?暁さんが?はい…はい…あ、すいません。またすぐ折り返します!』
雪ノ瀬瞬は七条琉花と龍千歌と共に都河泪の病院に泊まり込んでいた。先週から瞬の意見で一般の病室から家族が泊まれる少し広い部屋に泪は移動されている。24時間側にいてあげられるようにだ。
こんな時間に瞬が声を高くして電話しているので琉花も千歌も目を覚ましてしまった。
『どうかしたのか?』
『うん。八洲さんから電話だったんだけど』
様子が気になって千歌が訪ねると瞬は溜め息混じりに振り返った。
『あぁ、玲璃ちゃん?珍しいね。愛羽っちじゃなかったんだ?』
八洲と言われて一瞬考えたが琉花はすぐに金髪のショートカットを思い出した。
『それが、この前一緒に走りに行った月下さんが大変らしいの』
『大変って?』
『風矢さんって大阪の子がね、向こうで暴走族をやめようとしてケジメを取られてたみたいなんだけど、その場に月下さんが助けに入ったらしいの。そしたらいきなり現れたまた別の全然関係ない何者かに刀で斬られたって』
『…刀で?』
『ずいぶん物騒だな』
『それで結構出血がひどいらしくて、でも病院に輸血できる血液が足りないみたいで。今暁さんが病院に駆けつけて採血したらしいんだけどまだ全然足りないんだって』
『何型が必要なんだ?』
『O型。RH-の』
『なんだ。じゃあ瞬と一緒じゃん』
『うん。そうなの』
何故か瞬は浮かない顔をしている。
『何よ。どうしたのさ』
『いや、なんて言うか、なんか嫌な予感がしてたんだよね』
『嫌な予感?』
『うん…やっぱりあたし行かなきゃいけなかったんだ。2人も一緒に来てくれる?大阪』
『あぁ』
『もちろんでしょ』
『…あと、念の為にステロイドと鎮痛剤も用意してくれる?』
その言葉に2人は驚いていた。
あの日から瞬はもうドーピングをしていない。今後もう2度とすることもないかもしれないと思っていただけに軽い返事ができなかった。
『それ本気?まさか、戦争でも起きる訳じゃあるまいし』
『いつどこで何が起こるかは分からないから』
どうやらジョーダンではないらしい。そうなると2人もそれなりに心構えが必要になってくるが答えが出るのは早かった。
『上等じゃん。久しぶりのお出掛けだね。ワクワクする』
『ただし瞬。何があっても無理はしないでくれ』
『分かってる…』
3人はすぐに大阪へ行く準備をした。