第109話 魔神と死神の姉妹
文字数 1,433文字
咲薇たちが先へ進むと、もう工場の至る所で暴走侍と陽炎朱雀の女たちが殴り合い争っていた。
『みんな聞いてや!今日の件は全部般若娘が仕組んだことやねん!争うのはやめや!』
咲薇は争う者たちに声をかけていくが誰もそんな言葉に耳は貸さなかった。それどころか陽炎朱雀の人間たちに追われることになり瞬たちがそれを守りながら萼と浬を探した。
『あいつが風矢咲薇や!捕まえろ!』
こうなるとチームの頭である2人を説得するしかないが、萼と浬は常に移動しながら戦っているせいかなかなか見つからず咲薇は焦りを覚えていた。
だがそんな状況を更に絶望へ突き落とす障害物と出会ってしまうことになってしまった。
『あら~?私の大事なターゲットちゃん。わざわざこんな所に会いに来てくれたのねぇ。嬉しいわ~。丁度退屈してたのよ』
暴走侍、そして陽炎朱雀の女たち数十人が辺りに転がる中で天王道煌が笑っていた。
煌は胸ぐらをつかんでいた陽炎朱雀の女を片手でブンッと放り投げ瞬を見て微笑んでみせた。
その向こう側では姉の眩がドラム缶に座りながら頬杖をついている。
『さ…最悪や。天王道が姉妹でおる。あかん、みんな逃げよう。間違ってもあの2人とやり合ったらダメや』
『そんなにスゲーのか?あいつら』
咲薇の怯え方があまりにも大ゲサなので樹は逆に食いついた。
『すごいなんてもんやないねん。と、特に、姉の方は最悪や。絶対に手を出したらあかん奴や。君らがどんだけ腕に自信があろうと100%勝てへんよ。それだけは断言できる…』
『へぇ…』『ふーん…』
咲薇の言いきった言葉に樹と琉花の目が光った。
『よし!ここはあたしが任された!』
『何言ってんのよ。ここはあたしが引き受ける』
樹と琉花は互いに譲る気はないが煌は瞬を行かせてくれないだろう。瞬も困り顔だ。
『…しょうがない。千歌、風矢さんと一緒に行ってあげてくれる?あの妹の方はあたしに用があるみたいだから』
『いいのか?私が残ってもいいぞ?』
『大丈夫。すぐ後を追いかけるから、風矢さんをお願いね』
瞬が残って咲薇を任せるということは、そういうことなのだろうと千歌はそれで理解した。
『分かった…行こう、咲薇』
『えっ!?君ら本気か!?ホンマに殺されてまうよ?妹は魔神、姉は死神て呼ばれてるんよ?』
『上等だよ』『上等じゃん』
咲薇はもう仕方なく先を急ぐことにした。
煌はそんなこと構いもせず瞬の方へゆっくりと向かってきた。
『わざわざぶっ殺されに来てくれるなんて思わなかったわ。あなたたち、ここに何しにきたつもりなの?』
『この争いを止めにきた。それと、白狐から友達の単車を返してもらいにもね』
『へぇ、残念ね。少なくともあなたにそれはできない…私がここで潰しちゃうから』
煌が妖しく笑って言うと瞬は向かい合って構えた。
『喋ってないでかかってきなよ』
瞬と煌が激しくぶつかり合う向こう側では樹と琉花がジャンケンを始めた。
『よっしゃ~!!あたしが先行だー!!』
『ちぇっ、やっぱグーだったな』
どうやら眩と戦う順番を決めていたらしく、まんまと樹が勝ったようだ。
『よし、おい姉ちゃんの方!あたしが先相手だ。ま、先行で終わりだけどな』
樹は余裕の表情で眩の方を指差し言うと、眩はとぼけた顔で自分に指を向けスタスタと近づいてきた。
『なんや、あたしと遊んでくれるんか!?おおきに!』
『お、おう』
(あ?なんだこいつ…)
ケロッとした感じで手を振る死神に樹は調子が狂いそうだったが、向かい合うと2人も構えた。
『みんな聞いてや!今日の件は全部般若娘が仕組んだことやねん!争うのはやめや!』
咲薇は争う者たちに声をかけていくが誰もそんな言葉に耳は貸さなかった。それどころか陽炎朱雀の人間たちに追われることになり瞬たちがそれを守りながら萼と浬を探した。
『あいつが風矢咲薇や!捕まえろ!』
こうなるとチームの頭である2人を説得するしかないが、萼と浬は常に移動しながら戦っているせいかなかなか見つからず咲薇は焦りを覚えていた。
だがそんな状況を更に絶望へ突き落とす障害物と出会ってしまうことになってしまった。
『あら~?私の大事なターゲットちゃん。わざわざこんな所に会いに来てくれたのねぇ。嬉しいわ~。丁度退屈してたのよ』
暴走侍、そして陽炎朱雀の女たち数十人が辺りに転がる中で天王道煌が笑っていた。
煌は胸ぐらをつかんでいた陽炎朱雀の女を片手でブンッと放り投げ瞬を見て微笑んでみせた。
その向こう側では姉の眩がドラム缶に座りながら頬杖をついている。
『さ…最悪や。天王道が姉妹でおる。あかん、みんな逃げよう。間違ってもあの2人とやり合ったらダメや』
『そんなにスゲーのか?あいつら』
咲薇の怯え方があまりにも大ゲサなので樹は逆に食いついた。
『すごいなんてもんやないねん。と、特に、姉の方は最悪や。絶対に手を出したらあかん奴や。君らがどんだけ腕に自信があろうと100%勝てへんよ。それだけは断言できる…』
『へぇ…』『ふーん…』
咲薇の言いきった言葉に樹と琉花の目が光った。
『よし!ここはあたしが任された!』
『何言ってんのよ。ここはあたしが引き受ける』
樹と琉花は互いに譲る気はないが煌は瞬を行かせてくれないだろう。瞬も困り顔だ。
『…しょうがない。千歌、風矢さんと一緒に行ってあげてくれる?あの妹の方はあたしに用があるみたいだから』
『いいのか?私が残ってもいいぞ?』
『大丈夫。すぐ後を追いかけるから、風矢さんをお願いね』
瞬が残って咲薇を任せるということは、そういうことなのだろうと千歌はそれで理解した。
『分かった…行こう、咲薇』
『えっ!?君ら本気か!?ホンマに殺されてまうよ?妹は魔神、姉は死神て呼ばれてるんよ?』
『上等だよ』『上等じゃん』
咲薇はもう仕方なく先を急ぐことにした。
煌はそんなこと構いもせず瞬の方へゆっくりと向かってきた。
『わざわざぶっ殺されに来てくれるなんて思わなかったわ。あなたたち、ここに何しにきたつもりなの?』
『この争いを止めにきた。それと、白狐から友達の単車を返してもらいにもね』
『へぇ、残念ね。少なくともあなたにそれはできない…私がここで潰しちゃうから』
煌が妖しく笑って言うと瞬は向かい合って構えた。
『喋ってないでかかってきなよ』
瞬と煌が激しくぶつかり合う向こう側では樹と琉花がジャンケンを始めた。
『よっしゃ~!!あたしが先行だー!!』
『ちぇっ、やっぱグーだったな』
どうやら眩と戦う順番を決めていたらしく、まんまと樹が勝ったようだ。
『よし、おい姉ちゃんの方!あたしが先相手だ。ま、先行で終わりだけどな』
樹は余裕の表情で眩の方を指差し言うと、眩はとぼけた顔で自分に指を向けスタスタと近づいてきた。
『なんや、あたしと遊んでくれるんか!?おおきに!』
『お、おう』
(あ?なんだこいつ…)
ケロッとした感じで手を振る死神に樹は調子が狂いそうだったが、向かい合うと2人も構えた。