第84話 あたしの先生
文字数 2,385文字
『いや~食った食った!大先生!次はどこにしやしょうか!?』
玲璃と豹那は豹那のおごりで食べ歩きを満喫していた。
『おい、てめぇ。おごりだからって調子に乗りすぎちゃいないか?その前にお前、女か?どんだけ食えば気が済むんだい?』
『それじゃ、そろそろデザートにする?アイスクリームもいいなぁ』
玲璃があまりにも大飯食らいなので豹那は呆れていたが頷いた。
『分かったよ。アイスでも食いながら戻るか』
2人がアイスを求めて歩きだすと前方から意外にもさっきの5人が歩いてきた。大阪喧嘩會般若娘の藺檻槐たちだ。
『あれ?なぁ、あいつら』
『なんだ?まだいたのか、うっとうしいねぇ』
先程はあんなに呆気なく逃げるように去っていったのに、今は明らかにこちらを見て笑いながら歩いてくる。
藺檻槐は不気味な笑いを見せた。
『やぁやぁ探したで。まさかもう神奈川に逃げたんやないかと思てたよ。会えてよかった、嬉しいで』
『ふふ、やっと遺言でも決まったのかい?』
『あぁ、そうや。せやから聞いてくれると助かんねん』
何か様子が変だ。この意味深な余裕はなんだ?何かを企んでいるのは間違いないのだろうが豹那の目から見て槐たちに特に変わった様子はなく、先程やり合って分かった通り豹那からしたら槐は完全に格下だ。ハッタリだろうか?
食べたばかりで気は進まなかったが、だからといって避けて通らせてもくれないだろう。さっさと終わらせたい豹那は先手を取りにしかけていった。
1発目、まともに豹那の右ストレートが槐の顔面をとらえた。
『痛いやないか…まだスタートも言うてへんねやで?君それはあれや、フライングやぞ』
豹那は妙な違和感を覚えた。おもいきりぶちこんでやったはずの手応えがおかしいのだ。
(…なんだ?)
玲璃の前には先程玲璃が相手をした女が立ちはだかった。
『こっちもラウンド2や』
『あ?』
至近距離で余裕をかまして手招きをするので玲璃も黙っていられず大振りのパンチを打っていった。
『…あー、えぇパンチや。感動するわ』
ふざけた様子でそう言うと自分の顔を2回殴ってみせ異様な雰囲気で近づいてきた。
『ほれ、もっと打ってこんかい』
玲璃はすかさず2発目を叩きこんだが何かがおかしいことに玲璃も気づき始めていた。
すると今度は腕をつかまれ、その手を振り払おうとしたがどういう訳かびくともしない。そのまま相手の拳が飛んできたと思ったら殴り倒されていた。
(え?)
はっきり言って今のはとてつもなく重い一撃だった。脳が揺れるような衝撃だ。
(こいつ…こんなに重かったか?さっきとは別人だ。手ぇ抜いてやがったのか?これじゃ、まるで…)
尚も玲璃は攻撃を受けた。一方的な重い攻撃にされるがままだ。
豹那は槐を相手にまた拳を振りかぶった。槐もパンチを打ってきたが豹那はそれをかわし、もう1度渾身の一撃を叩きこんだ。
『どうだ!』
今度こそ効いたはず。確信を持てる1発だった。だが槐は全くと言っていいほど無傷だった。
『おうおう、薬使ってもビリビリ来とる。やっぱお前バケモンやな』
『薬…だと?』
それを聞いて豹那の中で全てがつながった。
『玲璃!!逃げろ!!』
豹那は玲璃に向かって叫んだ。
『こいつら前の雪ノ瀬と同じだ!何かしやがったんだ!それで戻ってきたんだよ!』
『なんだって?嘘だろ?くそっ、どおりで急に重くなった訳だ』
『分かったらお前だけでも逃げろ!さっきと同じようにはいかないよ!』
『ふざけんな!あんた1人残して逃げれるかよ!』
玲璃は構わず向かっていった。そして玲璃を気にする豹那の隙を槐は見逃さなかった。
『よそ見はアカンで!』
組んだ両手を振りかぶるとおもいきり豹那の顔面に手の甲をぶち当てた。
『うっ!』
弾き飛ばされ尻もちを着いた豹那の顔を蹴り飛ばし、顔を押さえ這いつくばった所を蹴りつけていく。
豹那の脳裏に瞬と戦った時の記憶が甦る。程度で言えば気持ち軽い気もしなくはないがこの場を制圧するのには十分な力だ。
『豹那!!』
玲璃は見ていられず駆け寄っていった。
『バカ…玲璃、いいからお前だけでも逃げるんだよ。こいつら5人に囲まれたらさすがに厳しい』
しかし玲璃は立ち上がり槐に向き直った。
『てめぇ、よくもやりやがったな』
『なんやガキ。お前なんぞそいつの言う通り逃げてえぇねんぞ?』
『うるせぇ!これ以上あたしの先生に手は出させねぇぞ!』
玲璃は豹那の前に立ち槐をにらむ。豹那は今の言葉を聞いて驚いていた。
『なぁ槐、もうあたしらもやってえぇやろ?どんなもんか試したいねん』
周りで見ていた他の3人がまるで新しいオモチャで遊びたがる子供のように言うと槐はニヤつき、手でハエでも払うかのようにした。
『やれや。もうえぇわ』
槐以外の4人が玲璃を囲み、問答無用で引きずり回し袋叩きにする。
『玲璃!』
助けに走った豹那だったが槐がそれをさせなかった。
『助けたいか?あたしに勝てたら行ってえぇぞ』
『くそったれ!』
やぶれかぶれでかかっていく豹那だったが、相手が瞬と同じドーピングをしているとするとほぼ勝機はなく、なんとか槐をくぐり抜けても更にあの4人がいる。
あの口ぶりからして全員使用者で間違いない。絶望的な状況だ。
『おぉ、ホンマや。パンチ重くなっとるのが分かるわ』
『次あたしやあたし』
『ははっ、あんまやりすぎると死んでしまうんちゃうか?』
『あたしの技やるまでは生かしといてや』
4人は代わる代わる玲璃に暴行を加えた。豹那は助けに入ることもできず、それを見ていることしかできなかった。
『玲璃!…やめろお前ら!あたしに来いよ!あたしが狙いなんだろ!?』
『慌てんなや。お前はあのガキの後、言われんでも5人でたっぷり料理したる』
玲璃は袋叩きにされた後気を失い、豹那もその後玲璃を助ける為最後まで抵抗したが5人に囲まれる形になり倒れてしまった。
『玲璃ぃ!!』
玲璃と豹那は豹那のおごりで食べ歩きを満喫していた。
『おい、てめぇ。おごりだからって調子に乗りすぎちゃいないか?その前にお前、女か?どんだけ食えば気が済むんだい?』
『それじゃ、そろそろデザートにする?アイスクリームもいいなぁ』
玲璃があまりにも大飯食らいなので豹那は呆れていたが頷いた。
『分かったよ。アイスでも食いながら戻るか』
2人がアイスを求めて歩きだすと前方から意外にもさっきの5人が歩いてきた。大阪喧嘩會般若娘の藺檻槐たちだ。
『あれ?なぁ、あいつら』
『なんだ?まだいたのか、うっとうしいねぇ』
先程はあんなに呆気なく逃げるように去っていったのに、今は明らかにこちらを見て笑いながら歩いてくる。
藺檻槐は不気味な笑いを見せた。
『やぁやぁ探したで。まさかもう神奈川に逃げたんやないかと思てたよ。会えてよかった、嬉しいで』
『ふふ、やっと遺言でも決まったのかい?』
『あぁ、そうや。せやから聞いてくれると助かんねん』
何か様子が変だ。この意味深な余裕はなんだ?何かを企んでいるのは間違いないのだろうが豹那の目から見て槐たちに特に変わった様子はなく、先程やり合って分かった通り豹那からしたら槐は完全に格下だ。ハッタリだろうか?
食べたばかりで気は進まなかったが、だからといって避けて通らせてもくれないだろう。さっさと終わらせたい豹那は先手を取りにしかけていった。
1発目、まともに豹那の右ストレートが槐の顔面をとらえた。
『痛いやないか…まだスタートも言うてへんねやで?君それはあれや、フライングやぞ』
豹那は妙な違和感を覚えた。おもいきりぶちこんでやったはずの手応えがおかしいのだ。
(…なんだ?)
玲璃の前には先程玲璃が相手をした女が立ちはだかった。
『こっちもラウンド2や』
『あ?』
至近距離で余裕をかまして手招きをするので玲璃も黙っていられず大振りのパンチを打っていった。
『…あー、えぇパンチや。感動するわ』
ふざけた様子でそう言うと自分の顔を2回殴ってみせ異様な雰囲気で近づいてきた。
『ほれ、もっと打ってこんかい』
玲璃はすかさず2発目を叩きこんだが何かがおかしいことに玲璃も気づき始めていた。
すると今度は腕をつかまれ、その手を振り払おうとしたがどういう訳かびくともしない。そのまま相手の拳が飛んできたと思ったら殴り倒されていた。
(え?)
はっきり言って今のはとてつもなく重い一撃だった。脳が揺れるような衝撃だ。
(こいつ…こんなに重かったか?さっきとは別人だ。手ぇ抜いてやがったのか?これじゃ、まるで…)
尚も玲璃は攻撃を受けた。一方的な重い攻撃にされるがままだ。
豹那は槐を相手にまた拳を振りかぶった。槐もパンチを打ってきたが豹那はそれをかわし、もう1度渾身の一撃を叩きこんだ。
『どうだ!』
今度こそ効いたはず。確信を持てる1発だった。だが槐は全くと言っていいほど無傷だった。
『おうおう、薬使ってもビリビリ来とる。やっぱお前バケモンやな』
『薬…だと?』
それを聞いて豹那の中で全てがつながった。
『玲璃!!逃げろ!!』
豹那は玲璃に向かって叫んだ。
『こいつら前の雪ノ瀬と同じだ!何かしやがったんだ!それで戻ってきたんだよ!』
『なんだって?嘘だろ?くそっ、どおりで急に重くなった訳だ』
『分かったらお前だけでも逃げろ!さっきと同じようにはいかないよ!』
『ふざけんな!あんた1人残して逃げれるかよ!』
玲璃は構わず向かっていった。そして玲璃を気にする豹那の隙を槐は見逃さなかった。
『よそ見はアカンで!』
組んだ両手を振りかぶるとおもいきり豹那の顔面に手の甲をぶち当てた。
『うっ!』
弾き飛ばされ尻もちを着いた豹那の顔を蹴り飛ばし、顔を押さえ這いつくばった所を蹴りつけていく。
豹那の脳裏に瞬と戦った時の記憶が甦る。程度で言えば気持ち軽い気もしなくはないがこの場を制圧するのには十分な力だ。
『豹那!!』
玲璃は見ていられず駆け寄っていった。
『バカ…玲璃、いいからお前だけでも逃げるんだよ。こいつら5人に囲まれたらさすがに厳しい』
しかし玲璃は立ち上がり槐に向き直った。
『てめぇ、よくもやりやがったな』
『なんやガキ。お前なんぞそいつの言う通り逃げてえぇねんぞ?』
『うるせぇ!これ以上あたしの先生に手は出させねぇぞ!』
玲璃は豹那の前に立ち槐をにらむ。豹那は今の言葉を聞いて驚いていた。
『なぁ槐、もうあたしらもやってえぇやろ?どんなもんか試したいねん』
周りで見ていた他の3人がまるで新しいオモチャで遊びたがる子供のように言うと槐はニヤつき、手でハエでも払うかのようにした。
『やれや。もうえぇわ』
槐以外の4人が玲璃を囲み、問答無用で引きずり回し袋叩きにする。
『玲璃!』
助けに走った豹那だったが槐がそれをさせなかった。
『助けたいか?あたしに勝てたら行ってえぇぞ』
『くそったれ!』
やぶれかぶれでかかっていく豹那だったが、相手が瞬と同じドーピングをしているとするとほぼ勝機はなく、なんとか槐をくぐり抜けても更にあの4人がいる。
あの口ぶりからして全員使用者で間違いない。絶望的な状況だ。
『おぉ、ホンマや。パンチ重くなっとるのが分かるわ』
『次あたしやあたし』
『ははっ、あんまやりすぎると死んでしまうんちゃうか?』
『あたしの技やるまでは生かしといてや』
4人は代わる代わる玲璃に暴行を加えた。豹那は助けに入ることもできず、それを見ていることしかできなかった。
『玲璃!…やめろお前ら!あたしに来いよ!あたしが狙いなんだろ!?』
『慌てんなや。お前はあのガキの後、言われんでも5人でたっぷり料理したる』
玲璃は袋叩きにされた後気を失い、豹那もその後玲璃を助ける為最後まで抵抗したが5人に囲まれる形になり倒れてしまった。
『玲璃ぃ!!』