第41話 綺夜羅だけど…

文字数 801文字

『いや~参った参った。予約しとくべきだったなぁ~』

 綺夜羅は頭を抱えて言った。それを聞いてみんな笑いをこらえていた。

 周辺のホテルから探してみたものの、6人がまとまって泊まれて料金が高くない所という条件になかなか当たらなかった。

 おまけに揃いも揃って始めての大阪ということで場所もよく分からずほぼお手上げ状態。いよいよ野宿という選択肢もそれぞれの脳裏に浮かんできた所だった。

『あ!!』

 そこで綺夜羅は思いついた。

『あいつに聞いてみよう!』

 携帯を取り出すと綺夜羅は電話をかけ始めた。

『もしもし。あっ、咲薇?綺夜羅だけど。うん、さっき大阪着いた。あのさぁ、どっか泊まれるとこ知らない?旅館かホテル探してるんだけど、どこも空きがなくてさぁー。場所もよく分かんねーし…え?今?ここどこだ?』

 綺夜羅は周りに見える物の特徴を伝えた。

『…うん…うん…マジで?分かった!』

 電話を切るとかなり自信ありげにみんなを見回した。

『咲薇が知り合いの旅館に聞いてお願いしてみてくれるってよ』

『おぉ!マジ!?』

『咲薇ってこの前いた人?』

 一先ずみんなが希望を持つとすぐに電話がかかってきて、どうやら1部屋空きが出たらしく自分が案内するのでそこで待っていてくれということで咲薇が来るのを待っていた。

 咲薇の住んでいる所から割りと近かったらしく、CXに乗ってすぐに咲薇は現れた。

『ホンマえぇ加減にしてや。なんの予約もせんとこの季節こんなとこ来て。そら足下見られて高い金取られるよ』

 咲薇は笑ってしまっていた。

『友達の家が旅館やってるんやけどね、まぁ良くも悪くも普通のとこなんやけど今日部屋埋まっとるか聞いたら空きが出た言うから、友達が宿探しとるから頼むわ言うたら空けといたるから早よおいで言うてくれてね。せっかくやから使ってや』

 咲薇は単車に跨がるとついてくるよう手招きした。

 チーム綺夜羅は天にも昇る思いで旅館へ向かっていった。
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