第57話 触れさせない
文字数 1,344文字
咲薇は尻もちをついていた。目の前には綺夜羅がいる。だがその顔は苦しそうに歪みツラそうにしている。
一瞬早く綺夜羅が駆け寄り突き飛ばしたおかげで咲薇は斬られずに済んだ。
『こいつには…触れさせねぇぞ…』
綺夜羅は白狐の方に向き直ると両手を広げた。その背中を見て咲薇は言葉を失った。
『嘘…やろ…』
咲薇を助けた代わりに綺夜羅は背中からバッサリと斬られてしまっていた。出血がひどく血の匂いが漂っている。
『綺夜羅!』
掠が持っていた木刀をおもいきり白狐に向けて投げつけた。白狐はそれをよけるとそのまま走っていってしまった。
『待たんかい!』
イデアもその後を追って走っていく。それを確認してか綺夜羅は力尽きたようにその場に倒れこんでしまった。
『綺夜羅!!しっかりして!ねぇ!聞こえる!?』
掠は今にも泣き出しそうな声で話しかけたが綺夜羅は苦しそうに呼吸するだけで返事はできないようだ。
『お願い咲薇ちゃん。救急車呼んで!あたしここがどこか分からない!』
『分かった!』
咲薇が救急車を呼んで待っている間にも綺夜羅の背中からは出血が止まらなかった。肩から腰まで本当にバッサリと斬られてしまっていて傷が深いのも見て分かる。
『ねぇ…この量、ヤバくない?どうしよう…綺夜羅が死んじゃう…』
掠が目に涙を浮かべながら綺夜羅の傷を手で押さえているのを見て、さっきまで争っていた暴走侍の女たちも心配して周りに集まっていた。
綺夜羅を動かす時は手も貸してくれ、なんだかぎこちない空気になってしまった。
それから10分程で救急車が到着し、かなり急を要する為、掠も咲薇も一緒に乗っていけなかった。
『綺夜羅。すぐ行くからね!』
掠の声が響くのと同時に救急車は出ていった。まだ綺夜羅のおびただしい量の血が匂いを残す中、その場にしばらく沈黙が続いた。
『…ねぇ。なんなの?さっきの奴ら』
掠は震えていた。
『最初に現れた外人みたいなネーチャンは、京都の不死鳥言うチームの総長、嵐山イデアや。あたしも見たんは初めてやったけど間違いない。そんで後から来た狐の面被っとったのが多分…白狐や』
『白狐?』
『うん。この前ゆーた暴走族襲撃事件の犯人や。誰なのかは分からんけど…』
『あんの野郎…』
掠は目を細め怒りに顔を歪ませた。その様子を横から見ていた萼が口をはさんだ。
『なんで狐がいきなりこんなとこ現れよんねん。おい咲薇。お前、あれとつながっとんのとちゃうやろなぁ』
『あんたね、さっき咲薇ちゃんが襲われそうになったの見てたでしょ!?』
『せやけど結局こいつは傷1つつけられへんかったやなかいか』
『そんなのあんたも一緒じゃん!!』
『なんやと!!』
掠と萼はにらみ合った。
『ふん。まぁえぇ。ウチのケジメの場に殴りこみに来たんや。鳳凰も白狐も皆殺しにしたる。おい咲薇、お前の命はその後まで取っといたるわ。感謝せぇよ』
『てめぇ!咲薇ちゃんケジメ取ったろうが!もう終わりでいいでしょ!?』
『あぁ。チームとしてのケジメは終わりでえぇ。どうぞ抜けて好きにしてくれてかまへん。これは…個人的にや』
そう言い残し萼は仲間たちと去っていった。掠は言い返したかったが、今相手にしている暇はない。
『とりあえず病院に向かお』
『うん』
2人は綺夜羅の運ばれた病院に向かった。
一瞬早く綺夜羅が駆け寄り突き飛ばしたおかげで咲薇は斬られずに済んだ。
『こいつには…触れさせねぇぞ…』
綺夜羅は白狐の方に向き直ると両手を広げた。その背中を見て咲薇は言葉を失った。
『嘘…やろ…』
咲薇を助けた代わりに綺夜羅は背中からバッサリと斬られてしまっていた。出血がひどく血の匂いが漂っている。
『綺夜羅!』
掠が持っていた木刀をおもいきり白狐に向けて投げつけた。白狐はそれをよけるとそのまま走っていってしまった。
『待たんかい!』
イデアもその後を追って走っていく。それを確認してか綺夜羅は力尽きたようにその場に倒れこんでしまった。
『綺夜羅!!しっかりして!ねぇ!聞こえる!?』
掠は今にも泣き出しそうな声で話しかけたが綺夜羅は苦しそうに呼吸するだけで返事はできないようだ。
『お願い咲薇ちゃん。救急車呼んで!あたしここがどこか分からない!』
『分かった!』
咲薇が救急車を呼んで待っている間にも綺夜羅の背中からは出血が止まらなかった。肩から腰まで本当にバッサリと斬られてしまっていて傷が深いのも見て分かる。
『ねぇ…この量、ヤバくない?どうしよう…綺夜羅が死んじゃう…』
掠が目に涙を浮かべながら綺夜羅の傷を手で押さえているのを見て、さっきまで争っていた暴走侍の女たちも心配して周りに集まっていた。
綺夜羅を動かす時は手も貸してくれ、なんだかぎこちない空気になってしまった。
それから10分程で救急車が到着し、かなり急を要する為、掠も咲薇も一緒に乗っていけなかった。
『綺夜羅。すぐ行くからね!』
掠の声が響くのと同時に救急車は出ていった。まだ綺夜羅のおびただしい量の血が匂いを残す中、その場にしばらく沈黙が続いた。
『…ねぇ。なんなの?さっきの奴ら』
掠は震えていた。
『最初に現れた外人みたいなネーチャンは、京都の不死鳥言うチームの総長、嵐山イデアや。あたしも見たんは初めてやったけど間違いない。そんで後から来た狐の面被っとったのが多分…白狐や』
『白狐?』
『うん。この前ゆーた暴走族襲撃事件の犯人や。誰なのかは分からんけど…』
『あんの野郎…』
掠は目を細め怒りに顔を歪ませた。その様子を横から見ていた萼が口をはさんだ。
『なんで狐がいきなりこんなとこ現れよんねん。おい咲薇。お前、あれとつながっとんのとちゃうやろなぁ』
『あんたね、さっき咲薇ちゃんが襲われそうになったの見てたでしょ!?』
『せやけど結局こいつは傷1つつけられへんかったやなかいか』
『そんなのあんたも一緒じゃん!!』
『なんやと!!』
掠と萼はにらみ合った。
『ふん。まぁえぇ。ウチのケジメの場に殴りこみに来たんや。鳳凰も白狐も皆殺しにしたる。おい咲薇、お前の命はその後まで取っといたるわ。感謝せぇよ』
『てめぇ!咲薇ちゃんケジメ取ったろうが!もう終わりでいいでしょ!?』
『あぁ。チームとしてのケジメは終わりでえぇ。どうぞ抜けて好きにしてくれてかまへん。これは…個人的にや』
そう言い残し萼は仲間たちと去っていった。掠は言い返したかったが、今相手にしている暇はない。
『とりあえず病院に向かお』
『うん』
2人は綺夜羅の運ばれた病院に向かった。