第135話 ヨゾラノナミダ
文字数 1,347文字
『愛羽、すまんかった。あんさんらの言うてたことは正しかった。誠に、申し訳なく思っとります。この通りや、どうか許してほしい…』
あの後、咲薇ちゃんがいなくなってからイデアさんがあたしの所に頭を下げに来てくれました。
『イデアさん…謝ったりしないでください。あたしは誤解が解けたならそれでいいんです。友達も守れたし。まぁ…咲薇ちゃんは、いなくなっちゃったけど…』
『そのことどすが…もしあんさんらが嫌でなければ、わたくしの方で風矢咲薇の弁護士を手配させてはもらえないやろか』
『え?イデアさんがですか?』
『仕事柄、腕のいい有名な弁護士の先生を何人か知っとりましてね。今回のお詫びに、このわたくしにできることをさせてほしいんどす。あんさんらがそれで構わんと言うてくれたら、わたくしから風矢咲薇の両親に話をさせてもらおうと思うとるので是非力になりたいと伝えておくんなはれ』
『ありがとうございます!きっとみんなもそれでいいって言うと思います。あと…その…また、遊びに行ってもいいですか?』
『それを言うならこちらからや。またその内、みんなで遊びに来てくれまへんか?』
そう言ってイデアさんは、一緒に過ごしたあの日のように優しい目をして笑ってくれました。
『はい!もちろん!』
食堂を出ると、もう少し暗くて人がたくさん歩いていた。
『いや~食った食った』
みんなが満足そうにしている中、やっぱり綺夜羅ちゃんはどこか寂しそうでした。
それでも精一杯明るく振る舞っているのがあたしにはすごく分かって、なんだかいたたまれない気持ちになった。
だからあたしは綺夜羅ちゃんの隣に行って手をつないでいた。反対側には瞬ちゃんが行ってくれて、あたしたちはまるで子供みたいに手をつないで歩いた。
しばらくすると急に空が光った。
そのすぐ後「ドーン!」と大きな音が鳴った。
『花火だ…』
あたしたちは思わず立ち止まってしまった。夏の最後の花火大会が始まったのだ。
あたしたちのいた場所は、たまたまそれがよく見える場所でみんな花火を見ることに夢中になっていた。
みんなこんな所で花火が見れるなんて思ってなかったから、はしゃいで喜んだり写真を撮ったりしていた。
『…空が…泣いてる…』
綺夜羅ちゃんがそう言った気がして、あたしがふと横を見ると綺夜羅ちゃんは涙を流していた。
だからあたしは気付かないフリをして、そのまま手をつないでいた。
とても綺麗な花火だった。
すごく大きな花火もあった。
無数の花火に空が埋め尽くされたり、見たことのないような形のものもあった。
きっと街は色んな所でにぎやかに盛り上がったに違いない。
多分、咲薇ちゃんも何度も見てきたのだろう。
叶泰さんと一緒に。
毎年一緒に見て、ずっとずっと2人で見ていきたいと、咲薇ちゃんは思っていたのかもしれない。
だから綺夜羅ちゃんにはそれが「悲しい花」に見えたんだとあたしは思った。
あんなに綺麗で鮮やかなのに。
あたしはそんな彼女がかわいそうに思えてしまった。
けど綺夜羅ちゃんはそれでもずっと目をそらさずに見ていた。
花火が終わるまで。
やがて花火が終わっても綺夜羅ちゃんは、まだしばらく空を見つめていた。
『…空が泣いてるよ…咲薇…』
あたしたちの大阪旅行はこうして幕を閉じた。
あの後、咲薇ちゃんがいなくなってからイデアさんがあたしの所に頭を下げに来てくれました。
『イデアさん…謝ったりしないでください。あたしは誤解が解けたならそれでいいんです。友達も守れたし。まぁ…咲薇ちゃんは、いなくなっちゃったけど…』
『そのことどすが…もしあんさんらが嫌でなければ、わたくしの方で風矢咲薇の弁護士を手配させてはもらえないやろか』
『え?イデアさんがですか?』
『仕事柄、腕のいい有名な弁護士の先生を何人か知っとりましてね。今回のお詫びに、このわたくしにできることをさせてほしいんどす。あんさんらがそれで構わんと言うてくれたら、わたくしから風矢咲薇の両親に話をさせてもらおうと思うとるので是非力になりたいと伝えておくんなはれ』
『ありがとうございます!きっとみんなもそれでいいって言うと思います。あと…その…また、遊びに行ってもいいですか?』
『それを言うならこちらからや。またその内、みんなで遊びに来てくれまへんか?』
そう言ってイデアさんは、一緒に過ごしたあの日のように優しい目をして笑ってくれました。
『はい!もちろん!』
食堂を出ると、もう少し暗くて人がたくさん歩いていた。
『いや~食った食った』
みんなが満足そうにしている中、やっぱり綺夜羅ちゃんはどこか寂しそうでした。
それでも精一杯明るく振る舞っているのがあたしにはすごく分かって、なんだかいたたまれない気持ちになった。
だからあたしは綺夜羅ちゃんの隣に行って手をつないでいた。反対側には瞬ちゃんが行ってくれて、あたしたちはまるで子供みたいに手をつないで歩いた。
しばらくすると急に空が光った。
そのすぐ後「ドーン!」と大きな音が鳴った。
『花火だ…』
あたしたちは思わず立ち止まってしまった。夏の最後の花火大会が始まったのだ。
あたしたちのいた場所は、たまたまそれがよく見える場所でみんな花火を見ることに夢中になっていた。
みんなこんな所で花火が見れるなんて思ってなかったから、はしゃいで喜んだり写真を撮ったりしていた。
『…空が…泣いてる…』
綺夜羅ちゃんがそう言った気がして、あたしがふと横を見ると綺夜羅ちゃんは涙を流していた。
だからあたしは気付かないフリをして、そのまま手をつないでいた。
とても綺麗な花火だった。
すごく大きな花火もあった。
無数の花火に空が埋め尽くされたり、見たことのないような形のものもあった。
きっと街は色んな所でにぎやかに盛り上がったに違いない。
多分、咲薇ちゃんも何度も見てきたのだろう。
叶泰さんと一緒に。
毎年一緒に見て、ずっとずっと2人で見ていきたいと、咲薇ちゃんは思っていたのかもしれない。
だから綺夜羅ちゃんにはそれが「悲しい花」に見えたんだとあたしは思った。
あんなに綺麗で鮮やかなのに。
あたしはそんな彼女がかわいそうに思えてしまった。
けど綺夜羅ちゃんはそれでもずっと目をそらさずに見ていた。
花火が終わるまで。
やがて花火が終わっても綺夜羅ちゃんは、まだしばらく空を見つめていた。
『…空が泣いてるよ…咲薇…』
あたしたちの大阪旅行はこうして幕を閉じた。