第69話 グーチョキパー
文字数 1,670文字
5人が病院に着くと入り口の所で蓮華が待っていた。
『豹那さん!よかった、みんな一緒だったんだ。こっち!ついてきて!』
蓮華は5人をすぐに綺夜羅の所へ案内した。豹那も樹も瞬も、これから自分の血を分け与える少女の眠り続ける姿を目にするとそれぞれ声をかけた。
『なかなか根性ありそうな面してんじゃねーか。誰をかばったって?』
『このあたしの血を使うんだ。光栄に思うんだね』
『月下さん…』
瞬が綺夜羅の手を取り何かを祈るようにした後5人は出ていき採血に向かった。
それと入れ替わるように、そこに別室で休んでいた愛羽がやってきた。
『愛羽!もう大丈夫なの?』
『うん。それより綺夜羅ちゃんは?』
そうは言ったが愛羽はだいぶ具合が悪そうだ。
『まだ眠ってる。でも聞いて、たった今豹那さんと樹さんと瞬さんたちが着いて、今輸血の為に採血してくれてるの』
『本当に?そっか、よかった…みんなは?』
蓮華の言葉に安心したのか、愛羽は力なくその場に座りこんでしまった。あまりにも顔色の悪い愛羽を見て風雅が額に手を当てた。
『愛羽、君すごい熱じゃないか』
風雅は愛羽を抱えた。
『寝てなきゃダメだよ』
そのまま部屋に戻り熱を計ると39℃あった。ツラいはずだ。
結局愛羽は点滴につながれ引き続き安静ということになってしまった。
『えーっと、するってーとなんだ?その狐だか狸だかを1人が今もどこ探してんだか帰ってこなくて、探してるはずのそいつが置きっぱなしにしてきたCBRをまんまと乗って現れて、1人が先走って追いかけて、その後を5人が追いかけてったまま連絡がまだねぇと。片やこっちは単車も1台しかねー上に愛羽は熱でぶっ倒れて両方のリーダーが寝たきりか。踏んだり蹴ったりだな』
3人の採血が終わってから改めて豹那たちに現在の状況を説明するとすぐに話し合いが始まった。
『ふーん。妙な街の荒れ具合はやっぱりそいつが原因みたいね』
琉花は話を聞いて合点がいったという感じだ。
『どうしよう。とりあえずあたしたちも動こうか』
瞬の言葉で5人は立ち上がった。
『どう動く?』
『うーん、とりあえず湘南ナンバーのGSにKH、CBR。それに八洲さんたちを見つけないことにはどうにもならないからグーパーで二手に別れて探そうか』
5人が握り拳を出し合うと風雅が同じように手を出した。
『僕も行くよ』
『じゃあ、グーチョキパーで3つに別れよっか。せーの!』
樹と琉花、風雅と千歌、そしてなんと豹那と瞬というコンビになってしまった。
『おぉ!この組み合わせは!』
前にやり合った者同士がくっつく形となり、樹は1人テンションが上がっていた。
『お前とかー。よし、とりあえずおもしろそうだな』
『樹ちゃん。足、引っぱらないでね』
『はぁっ!?』
3組共タクシーに乗り、バラバラになってメンバーを探すことにした。
『あ、あの…』
6人が出発する前に燃が豹那たちに話しかけた。
『今日は本当に綺夜羅を助けに来てくれて、どうもありがとうございました!』
何よりもまずそのことにメンバーを代表して燃はお礼を言いたかったのだ。自分たちだけだったら綺夜羅の命は今頃どうなっていたか分からない。自分の大切な友達が死にかけているのに血も分けてあげられないツラさがみんなにあった。深々と頭を下げる燃に樹が言った。
『頭なんか下げんなよ。ここに来てる奴は全員自分の意思で来てんだ。あたしを含めて全員な』
燃は思わず涙が溢れてきてしまった。
この人たちも愛羽たちも、なんて強くカッコいいのだろう。
綺夜羅の為に自分が倒れるまで血液を提供してくれた愛羽。
見ず知らずの綺夜羅の為に電話1本で大阪まで駆けつけてくれた豹那たち。
そして今度は危険をかえりみずメンバーたちを探しに行こうとしてくれている。
燃が涙を拭うと瞬がその肩を叩いた。
『月下さんのこと、よろしくね。近くにいてくれる人って大事だから、君がまず気をしっかり持たなきゃ』
『はい…ありがとうございます』
燃は言われて必死に泣くのをこらえた。目の前にいるのが有名な暴走族の人たちとは彼女には思えなかった。
『豹那さん!よかった、みんな一緒だったんだ。こっち!ついてきて!』
蓮華は5人をすぐに綺夜羅の所へ案内した。豹那も樹も瞬も、これから自分の血を分け与える少女の眠り続ける姿を目にするとそれぞれ声をかけた。
『なかなか根性ありそうな面してんじゃねーか。誰をかばったって?』
『このあたしの血を使うんだ。光栄に思うんだね』
『月下さん…』
瞬が綺夜羅の手を取り何かを祈るようにした後5人は出ていき採血に向かった。
それと入れ替わるように、そこに別室で休んでいた愛羽がやってきた。
『愛羽!もう大丈夫なの?』
『うん。それより綺夜羅ちゃんは?』
そうは言ったが愛羽はだいぶ具合が悪そうだ。
『まだ眠ってる。でも聞いて、たった今豹那さんと樹さんと瞬さんたちが着いて、今輸血の為に採血してくれてるの』
『本当に?そっか、よかった…みんなは?』
蓮華の言葉に安心したのか、愛羽は力なくその場に座りこんでしまった。あまりにも顔色の悪い愛羽を見て風雅が額に手を当てた。
『愛羽、君すごい熱じゃないか』
風雅は愛羽を抱えた。
『寝てなきゃダメだよ』
そのまま部屋に戻り熱を計ると39℃あった。ツラいはずだ。
結局愛羽は点滴につながれ引き続き安静ということになってしまった。
『えーっと、するってーとなんだ?その狐だか狸だかを1人が今もどこ探してんだか帰ってこなくて、探してるはずのそいつが置きっぱなしにしてきたCBRをまんまと乗って現れて、1人が先走って追いかけて、その後を5人が追いかけてったまま連絡がまだねぇと。片やこっちは単車も1台しかねー上に愛羽は熱でぶっ倒れて両方のリーダーが寝たきりか。踏んだり蹴ったりだな』
3人の採血が終わってから改めて豹那たちに現在の状況を説明するとすぐに話し合いが始まった。
『ふーん。妙な街の荒れ具合はやっぱりそいつが原因みたいね』
琉花は話を聞いて合点がいったという感じだ。
『どうしよう。とりあえずあたしたちも動こうか』
瞬の言葉で5人は立ち上がった。
『どう動く?』
『うーん、とりあえず湘南ナンバーのGSにKH、CBR。それに八洲さんたちを見つけないことにはどうにもならないからグーパーで二手に別れて探そうか』
5人が握り拳を出し合うと風雅が同じように手を出した。
『僕も行くよ』
『じゃあ、グーチョキパーで3つに別れよっか。せーの!』
樹と琉花、風雅と千歌、そしてなんと豹那と瞬というコンビになってしまった。
『おぉ!この組み合わせは!』
前にやり合った者同士がくっつく形となり、樹は1人テンションが上がっていた。
『お前とかー。よし、とりあえずおもしろそうだな』
『樹ちゃん。足、引っぱらないでね』
『はぁっ!?』
3組共タクシーに乗り、バラバラになってメンバーを探すことにした。
『あ、あの…』
6人が出発する前に燃が豹那たちに話しかけた。
『今日は本当に綺夜羅を助けに来てくれて、どうもありがとうございました!』
何よりもまずそのことにメンバーを代表して燃はお礼を言いたかったのだ。自分たちだけだったら綺夜羅の命は今頃どうなっていたか分からない。自分の大切な友達が死にかけているのに血も分けてあげられないツラさがみんなにあった。深々と頭を下げる燃に樹が言った。
『頭なんか下げんなよ。ここに来てる奴は全員自分の意思で来てんだ。あたしを含めて全員な』
燃は思わず涙が溢れてきてしまった。
この人たちも愛羽たちも、なんて強くカッコいいのだろう。
綺夜羅の為に自分が倒れるまで血液を提供してくれた愛羽。
見ず知らずの綺夜羅の為に電話1本で大阪まで駆けつけてくれた豹那たち。
そして今度は危険をかえりみずメンバーたちを探しに行こうとしてくれている。
燃が涙を拭うと瞬がその肩を叩いた。
『月下さんのこと、よろしくね。近くにいてくれる人って大事だから、君がまず気をしっかり持たなきゃ』
『はい…ありがとうございます』
燃は言われて必死に泣くのをこらえた。目の前にいるのが有名な暴走族の人たちとは彼女には思えなかった。