第100話 友達
文字数 1,421文字
如月伴は龍玖と共に神楽絆の兄、縁の墓に向かっていた。墓参りはあの次の日2人で来たのだが墓石の周りの掃除をどうしてもしたいということでこの土曜日また墓を訪れ、すぐ近くのスーパーで簡単に買い物をしている所だった。
『軍手にタオルにバケツとほうきと、ちりとりもあった方がいいわね。ねぇ龍玖、あと何が必用かしら?』
『とりあえずこれで十分だよ。俺、買ってくるから外で待っててくれていいよ』
『まぁ、私が一緒に並んだら迷惑かしら?』
『いや、そうじゃなくて』
そんなやり取りをしていると伴の携帯が鳴りだした。
『あら、哉原だわ』
伴は小走りで店の外へ出るとすぐ電話に出た。
『よぉ~如月ぃ!あれからどうだ?上手くいったのかよ』
『え、えぇ。この前はどうもありがとう。あの…おかげさまで、本当に助かったわ』
『そーかそーか。だから言っただろ、大丈夫だって。で…どうなんだよ。あっちの方は何発やらせてやったんだ?』
『えっ!?…いえ、それが、その…まだ…』
『は?マジかよ、お前。ちょっとガードが堅すぎなんじゃねぇのか?』
『いや、で、で、でも別に、そういうムードというか、そういう感じにならないというか…私も待ってはいるのよ?』
『なぁ、お前まさか…したことねぇのか?』
『…』
図星だ。伴は全くの処女という人である。
『マジかよ!かぁ~、そりゃちょっと予想外だったなぁ』
『ま…まずかったかしら?』
『まずいどころの話じゃねーよ、お前そりゃあよぉ。激ヤバだぜ?まぁしょうがねぇからそれはまた別口で改めて講習が必要だな』
『よろしく頼むわ!!あなたは本当にいい奴ね。どっかの誰かさんとは大違いだわ』
『…あー、そんでそのお前の友達のことなんだけどよ。今ちょっと大変なんだよ』
『え!?緋薙も彼ができたの!?』
『…じゃ、なくてよ』
樹は伴に今大阪で起きていることの全てを話した。
『と、いう訳でよ、ちょっと話聞いてやってくれよ』
『なんでそもそも私には誰も連絡してくれなかったのかしら。ひどいわ』
『…まぁ、そこはお前のこと考えてくれたんだろうけどよ。頼むぜ、如月。こういう時話せるのが友達ってもんだ』
『わ、分かったわ』
伴は豹那に一呼吸置いてから電話をかけた。
『…なんだい?』
電話に出た豹那の声は想像以上に元気がなかった。
『具合はどうかしら。大丈夫なの?』
『ちっ、誰だチクりやがったのは。なんの用だよ』
『私に何かできるかしら』
『うるさいねぇ、歌でも歌ってなよ』
『うふふ。あなたって面白いこと言うのね』
『…切るよ』
『あなたが嫌じゃなかったら、今から大阪に行こうと思うのだけど』
『なんでそれをあたしに聞くんだい?』
『あら、友達だからよ。友達が困っていたら助けたいと思うのが普通でしょ?緋薙、あなたはもう1人なんかじゃないわ。そんなことあなただって分かっているんでしょ?私助けに行きたいわ』
『必要ないね。あたしはお前の助けなんていらないよ』
豹那はそう言って本当に切ってしまった。伴は呆れて溜め息をついた。
『…本当に素直じゃないのね』
買い物を終えた龍玖がその姿を心配そうに見ている。
『伴、どうかしたのか?』
『龍玖…ごめんなさい。私、ちょっと行かなきゃいけないの。一緒にこのまま行きたいのだけど…』
伴が申し訳なさそうにしていると龍玖は笑って言った。
『そんなこと気にするなよ。早く行っておいで』
伴は龍玖と少しの間見つめ合うと恥ずかしそうな顔をした。
『…ありがとう』
そう言うと伴は走りだしていった。
『軍手にタオルにバケツとほうきと、ちりとりもあった方がいいわね。ねぇ龍玖、あと何が必用かしら?』
『とりあえずこれで十分だよ。俺、買ってくるから外で待っててくれていいよ』
『まぁ、私が一緒に並んだら迷惑かしら?』
『いや、そうじゃなくて』
そんなやり取りをしていると伴の携帯が鳴りだした。
『あら、哉原だわ』
伴は小走りで店の外へ出るとすぐ電話に出た。
『よぉ~如月ぃ!あれからどうだ?上手くいったのかよ』
『え、えぇ。この前はどうもありがとう。あの…おかげさまで、本当に助かったわ』
『そーかそーか。だから言っただろ、大丈夫だって。で…どうなんだよ。あっちの方は何発やらせてやったんだ?』
『えっ!?…いえ、それが、その…まだ…』
『は?マジかよ、お前。ちょっとガードが堅すぎなんじゃねぇのか?』
『いや、で、で、でも別に、そういうムードというか、そういう感じにならないというか…私も待ってはいるのよ?』
『なぁ、お前まさか…したことねぇのか?』
『…』
図星だ。伴は全くの処女という人である。
『マジかよ!かぁ~、そりゃちょっと予想外だったなぁ』
『ま…まずかったかしら?』
『まずいどころの話じゃねーよ、お前そりゃあよぉ。激ヤバだぜ?まぁしょうがねぇからそれはまた別口で改めて講習が必要だな』
『よろしく頼むわ!!あなたは本当にいい奴ね。どっかの誰かさんとは大違いだわ』
『…あー、そんでそのお前の友達のことなんだけどよ。今ちょっと大変なんだよ』
『え!?緋薙も彼ができたの!?』
『…じゃ、なくてよ』
樹は伴に今大阪で起きていることの全てを話した。
『と、いう訳でよ、ちょっと話聞いてやってくれよ』
『なんでそもそも私には誰も連絡してくれなかったのかしら。ひどいわ』
『…まぁ、そこはお前のこと考えてくれたんだろうけどよ。頼むぜ、如月。こういう時話せるのが友達ってもんだ』
『わ、分かったわ』
伴は豹那に一呼吸置いてから電話をかけた。
『…なんだい?』
電話に出た豹那の声は想像以上に元気がなかった。
『具合はどうかしら。大丈夫なの?』
『ちっ、誰だチクりやがったのは。なんの用だよ』
『私に何かできるかしら』
『うるさいねぇ、歌でも歌ってなよ』
『うふふ。あなたって面白いこと言うのね』
『…切るよ』
『あなたが嫌じゃなかったら、今から大阪に行こうと思うのだけど』
『なんでそれをあたしに聞くんだい?』
『あら、友達だからよ。友達が困っていたら助けたいと思うのが普通でしょ?緋薙、あなたはもう1人なんかじゃないわ。そんなことあなただって分かっているんでしょ?私助けに行きたいわ』
『必要ないね。あたしはお前の助けなんていらないよ』
豹那はそう言って本当に切ってしまった。伴は呆れて溜め息をついた。
『…本当に素直じゃないのね』
買い物を終えた龍玖がその姿を心配そうに見ている。
『伴、どうかしたのか?』
『龍玖…ごめんなさい。私、ちょっと行かなきゃいけないの。一緒にこのまま行きたいのだけど…』
伴が申し訳なさそうにしていると龍玖は笑って言った。
『そんなこと気にするなよ。早く行っておいで』
伴は龍玖と少しの間見つめ合うと恥ずかしそうな顔をした。
『…ありがとう』
そう言うと伴は走りだしていった。