第71話 湘南ナンバー
文字数 1,434文字
掠はすぐに白狐を追いかけていったが全く追いつけずにいた。単車の運転は想像以上にできるらしく、掠が走りだした時にはすでに姿がなくCBRの音を頼りにただ街を走っていく。
すると反対車線や交差する道路からいきなり現れ、かと思えば掠が追おうとするとすぐに路地に入られ逃げられてしまう。
走りながらマフラーを足でふさいだりもしていて音もなかなか聞こえてこない。それも一瞬足を外してアクセルを吹かしたかと思えば、またすぐに音を聞こえないようにしたりと巧妙でなかなか尻尾をつかめないでいた。
掠は自分が今どこを走っているのかなど眼中になかったが、少なくともさっきから同じような所を何回も通っている。
その辺りの地図が頭の中に出来上がる頃、やっと彼女は違和感を覚えた。
『なんなの?なんなのよ…』
そこに今度は後ろから白狐が現れた。同じ車線を後ろから来るとは相当舐められているらしい。掠はそう理解した。
『この野郎!』
今度は逃がさない。白狐の後ろを確実に捉えている。
『絶対捕まえてやる!!』
掠は我を忘れて追いかけていく。もう道は把握した。白狐は目の前5メートル程の所まで迫っている。同じ車線でこの距離なら、そうそう離されることはない。
朝の交通量が増えてきた大阪の街をハイスピードでチェイスしていく。
時間はもう8時?いや9時頃だろうか?気づけばもう1時間は走っている気がする。
頭に血が昇ってしまって気にする暇もなかったが、一体さっきから何をしているのか。綺夜羅は斬られてしまったというのに追ってくる掠には手も出そうとしない。掠だってそれなりの危険を覚悟してきたのだ。なのにこれではほとんど遊ばれているようだ。
目の前に現れてからも追いつかれては離しを繰り返しているばかりで追われているにしてはずいぶん余裕である。
(何?こいつ何考えてるの?くそったれ…)
車と車の間をすり抜け車を追い越し、赤信号を突破してレースは続くがあと1歩の所を追いつききれない掠はイライラするばかりだった。
『チクチョウ!!降りてこいよ!!卑怯者!!』
掠が叫んだその時、それまでと変わって白狐が急にスピードを上げた。
『あっ!』
掠が追いかけようと一気にアクセルをひねった次の瞬間、白狐はいきなり急ブレーキをかけタイヤを滑らせたと思ったらそのまま綺麗にドリフトし、あっという間に対向車線に向きを変え走り去っていった。
『くそっ!やられた!』
掠が悔しそうに単車のタンクを叩き、自分も急いでUターンしようとすると後ろから単車が走ってきた。
『よぉ姉ちゃん。ちょっとえぇか?』
『ん?』
玲璃たちではない。それに少なくとも昨日いた暴走侍たちでもない。単車5台で8人の女たちが掠の前に集まってきた。
『湘南ナンバー。お前今白狐とおったやろ』
『はい?』
『お前白狐の仲間やな。ちょっと面貸せや。案内せぇ、白狐のとこ』
『何言ってんのよ!あたしがあいつの仲間な訳ないでしょ!?』
『嘘言うなや。お前さっきからずっと仲良さそうに走っとったやないか』
『…は?…はぁ?』
『みんなが見とんねん。言い逃れなんてさせへんぞ!』
掠はやっと話が見えてきた。だがもうだいぶ手遅れらしい。
『あいつ…もしかして、こうなることを予想してたってこと?…まずい…それじゃ、問答無用で湘南ナンバーが狙われる』
『何ごちゃごちゃ言うとんねん!早よ案内せぇや』
目の前の相手に話した所でまず分かってなどくれないだろう。掠は逃げるしかなかった。
『あ!待てやコラァ!!』
すると反対車線や交差する道路からいきなり現れ、かと思えば掠が追おうとするとすぐに路地に入られ逃げられてしまう。
走りながらマフラーを足でふさいだりもしていて音もなかなか聞こえてこない。それも一瞬足を外してアクセルを吹かしたかと思えば、またすぐに音を聞こえないようにしたりと巧妙でなかなか尻尾をつかめないでいた。
掠は自分が今どこを走っているのかなど眼中になかったが、少なくともさっきから同じような所を何回も通っている。
その辺りの地図が頭の中に出来上がる頃、やっと彼女は違和感を覚えた。
『なんなの?なんなのよ…』
そこに今度は後ろから白狐が現れた。同じ車線を後ろから来るとは相当舐められているらしい。掠はそう理解した。
『この野郎!』
今度は逃がさない。白狐の後ろを確実に捉えている。
『絶対捕まえてやる!!』
掠は我を忘れて追いかけていく。もう道は把握した。白狐は目の前5メートル程の所まで迫っている。同じ車線でこの距離なら、そうそう離されることはない。
朝の交通量が増えてきた大阪の街をハイスピードでチェイスしていく。
時間はもう8時?いや9時頃だろうか?気づけばもう1時間は走っている気がする。
頭に血が昇ってしまって気にする暇もなかったが、一体さっきから何をしているのか。綺夜羅は斬られてしまったというのに追ってくる掠には手も出そうとしない。掠だってそれなりの危険を覚悟してきたのだ。なのにこれではほとんど遊ばれているようだ。
目の前に現れてからも追いつかれては離しを繰り返しているばかりで追われているにしてはずいぶん余裕である。
(何?こいつ何考えてるの?くそったれ…)
車と車の間をすり抜け車を追い越し、赤信号を突破してレースは続くがあと1歩の所を追いつききれない掠はイライラするばかりだった。
『チクチョウ!!降りてこいよ!!卑怯者!!』
掠が叫んだその時、それまでと変わって白狐が急にスピードを上げた。
『あっ!』
掠が追いかけようと一気にアクセルをひねった次の瞬間、白狐はいきなり急ブレーキをかけタイヤを滑らせたと思ったらそのまま綺麗にドリフトし、あっという間に対向車線に向きを変え走り去っていった。
『くそっ!やられた!』
掠が悔しそうに単車のタンクを叩き、自分も急いでUターンしようとすると後ろから単車が走ってきた。
『よぉ姉ちゃん。ちょっとえぇか?』
『ん?』
玲璃たちではない。それに少なくとも昨日いた暴走侍たちでもない。単車5台で8人の女たちが掠の前に集まってきた。
『湘南ナンバー。お前今白狐とおったやろ』
『はい?』
『お前白狐の仲間やな。ちょっと面貸せや。案内せぇ、白狐のとこ』
『何言ってんのよ!あたしがあいつの仲間な訳ないでしょ!?』
『嘘言うなや。お前さっきからずっと仲良さそうに走っとったやないか』
『…は?…はぁ?』
『みんなが見とんねん。言い逃れなんてさせへんぞ!』
掠はやっと話が見えてきた。だがもうだいぶ手遅れらしい。
『あいつ…もしかして、こうなることを予想してたってこと?…まずい…それじゃ、問答無用で湘南ナンバーが狙われる』
『何ごちゃごちゃ言うとんねん!早よ案内せぇや』
目の前の相手に話した所でまず分かってなどくれないだろう。掠は逃げるしかなかった。
『あ!待てやコラァ!!』