第87話 渦を巻く悪意

文字数 719文字

 一方、ステロイドと鎮痛剤を使って見事豹那と玲璃を倒すことに成功した槐たち般若娘の5人は祝杯をあげていた。

『無敵やな!あの化物ソッコーいってもうたやん!』

『これなら誰にも負ける気せぇへんな』

『まさか天王道の姉やんにも勝てたりしてな!』

『まずは不死鳥と陽炎朱雀やろ!』

『ただこの副作用はきっついな。あんなちょっとしか使ってへんのに体がギシギシ言うてんで』

 ステロイドによる一時的な筋肉の超倍増によって、効果が切れた後は想像を絶する筋肉痛に襲われる。その情報から今日は使用する量を5分の1程度に抑えていた。

 それでも効果は十分だった。それ程恐ろしい薬ということになる。

 4人が盛り上がる中、槐は黙々とパソコンに向かって何かをしていた。

『槐、さっきから何しとんの?』

『ははっ、お前らが考えそうなことはもうとっくに考えとんねん。もっともオモロイこと考えたんや』

『オモロイこと?』

 槐は自分のパソコンの画面を4人に見せた。とあるSNSに何かの書きこみをしたらしい。

『なんやこれ…かくまっているのは暴走侍。その正体は風矢咲薇。なんやねんこれ』

『オモロイやろ?不死鳥、陽炎朱雀、暴走侍。関西の暴走族を潰し合わせんねん。なんも知らんとみんなで一生懸命潰し合った後あたしらが残った奴らを潰すんや』

『なるほど。さすが槐は悪どいな』

『それは確かにオモロイな』

『この無敵の薬を存分に楽しめるで』

『アカン。めっちゃワクワクしてきた』

 異常な程ケンカやもめ事を好む槐たち般若娘からしたら、それ以上はないというイベントだ。

『そーや。土曜日、暴走侍の集合に合わせてぶつけさすか』

 槐は「白狐を追う者、土曜日に暴走侍の集合場所で。」と付け足した。

『さぁ、ゲームスタートや』
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