第112話 アクロバットバトル

文字数 710文字

 瞬は天王道煌に攻めていった。飛び蹴りからのひじ打ち、すかさず腹に拳をねじ込み続けて空中回し蹴りを放った。

 般若娘たちが見ていたら「おぉ!!」と声をあげたであろう見事な連続攻撃だったのだが、煌には大して効いていなかった。

『覚悟しなさいね。あなたを叩き潰すのが今日の私のノルマよ』

 2人は互いの間合いに入っている。今度は煌が動いた。

 右足のハイキックで顔を狙い、ギリギリで瞬がそれをよけるとそのまま足で宙に円を描くようにしてかかと落としにきた。

 この前手を合わせているのでもう分かっているが、今の蹴りを見て改めて瞬はこの女の強さを感じていた。こんなセンスのいい蹴りを打ってくる者など少なくとも地下格闘技の大会にはいなかった。

 襲いかかるかかとを寸前の所でかわすと次の瞬間、今度は更に右足で強烈な飛びひざ蹴りが瞬のあごに炸裂した。

『ぐっ!』

 なんとか後ろに倒れそうになるのをこらえたが体勢を立て直す前に今度はソバットで蹴り飛ばされた。

『ほらほら!いくわよ!』

 煌はまだ向かってくる。瞬は息つく間もない。急いで跳ね起きるとそこをめがけて拳が飛んできたので反射的にバク転でそれをよけた。

『へぇ、やっぱり…なかなかいい運動神経とセンスをしてるのね』

 聞こえるか聞こえないかという位の声でそう言うと煌は走って向かっていった。

 と思うと瞬の手前で側転し、回転しながら蹴りをあびせてきた。かなりアクロバティックな技だが見かけだけじゃない完成された技だ。

 そうかと思えば前蹴りでまた更に蹴り飛ばされた。

 関東最強の暴走族とまで言われた東京連合の総長が戦いが始まってからここまで完全に圧倒されている。

(魔神、か…思ってたより、ずっと強いや)
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