第86話 眠りにつく者 目覚める者

文字数 566文字

 豹那と玲璃以外のメンバーは病院から街へ出て夕食を済ませ腹を満たし終わった所だった。瞬たちに樹もこのまま日帰りなどできず、愛羽たちが泊まっているホテルの空いている部屋を予約し、今日は各自寝に帰ろうということになっていた。

『あれ?あそこにいるの緋薙じゃねーか?』

 向かい側の歩道に豹那を見つけたのは樹だった。豹那が玲璃をおぶってフラフラ歩いている。

『あいつら酔っ払ってんのか?おーい!豹那ー!』

 すると豹那は玲璃をおぶったまま倒れてしまった。2人共起き上がる様子はない。

『なんか…おかしくねぇか?』

 一同が走って2人の元へ向かうと、ひどいケガをしているのが分かった。

『玲璃!』

『豹那さん!』

『おい緋薙!どうした!何があった!』

 玲璃は目覚めないが豹那はまだ少し意識があるようだ。

『いいから…こいつを…早く病院に…』

 豹那はそう言うと糸が切れたかのように気を失ってしまった。

『おい!救急車だ!』

 何があったのか、どうしてこうなったのか全く分からず全員がパニックになる中、豹那と玲璃も愛羽と綺夜羅の眠る病院に運ばれていき、みんな宿に戻るどころではなくなってしまった。

 傷の手当てが済んでも2人は目覚めず、蘭菜と蓮華に燃が結局引き続き病院に残ることになり、あとのメンバーは休みに帰ることになった。

 その夜、皮肉にも愛羽が回復し目を覚ました。
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