第107話 危険人物注意
文字数 1,756文字
藺檻槐と般若娘たちは丁度廃工場に着いた所だった。
『おっ、やっとるやっとる』
『どことどこや?』
『暴走侍と…陽炎朱雀や。ははは!』
『なんやまだ始まったばかりやないか。もっと集まると思てたのになぁ』
『仕方ない。この辺で待っとるか』
5人はとりあえず高みの見物といった所だったが、ここで槐たちは予想もしていなかった客を招いてしまったことを知ることになる。
『お、なんか来るで』
現れたのは2台の単車だった。
カワサキの750Z2に乗った天王道煌と同じくカワサキの900Z1に乗って関西最強の女、天王道眩が工場の門の所で停まった。
『おっ、お~い!槐やないか!こんなとこで何しとんねん!』
とても軽い感じで友達にでも会ったかのようにニコニコしながら眩は話かけた。
その存在に気づいた槐たちはまず忘れかけていた恐怖を思い出した。
『…眩?…煌?お、お前ら、いつ戻ってきたんや…いや…お前らこそ、何しに来たんや』
槐は内心悔しかったが怯えていた。だが怯えつつもなんとか向き合って言うと、まず煌が眉をつり上げた。
『ちょっと槐。まだ私ならともかく、姉さんには敬語を使いなさいよ。殺されたいの?』
煌は鋭い目つきで槐の顔を覗きこむようにして言うと更ににらみを利かせた。まるで今にも喉に噛みつこうとしている獣のようだ。
槐たちは咲薇や萼、そして煌と同い年で眩は1つ上であり、そもそもチームの先輩である。
自分の崇拝する姉に無礼な口をきく槐に煌は今にも殴りかかってしまいそうだが、当の眩はそんなこと気にせず笑っていた。
『まぁまぁえぇやないか煌。そうか分かったぞ。このくだらん抗争影で操っとったのお前やな?槐。』
『くだらんやと?それは心外やな。こんなおもろいゲームは久しぶりや。それに操る言うのも聞き捨てならんな。あたしはただ白狐がやりやすいようにしてやっただけや』
白狐という言葉が出てきて天王道姉妹の顔つきが変わった。
『…まさか、お前まで白狐狩る言いだすんちゃうやろな?』
ここまで頑張って向き合ってきた槐も、その変わり様に冷や汗をかいた。
『な、なんや…お前ら、まさか知り合いなんか?』
『あの白狐言うのはあたしらの友達や。あたしらは今日あいつを守る為に来た。もしそのつもりなら、お前と言えど容赦せぇへんぞ』
眩はついさっきとは全く別人のような険しい顔つきで言った。槐は顔に出さないように必死にこらえたが恐怖のあまり1歩も動けなかった。
腰を抜かさないようにするだけで精一杯だった。
『なな、なんや、2人であたしらに勝てるつもりか?言うとくが今のあたしらは1年前とは違うで。ま、まぁえぇわ。まさか白狐がお前らの連れやったとはな。これはますますおもろなってきたで。えぇやろ、とりあえずあたしらの狙いはここに来たチームを潰すことや。あたしらの邪魔さえせんかったら今日のとこは見逃しといたるわ』
なんとか槐が口を動かした後、数秒険悪な空気が続いたが、眩はまたいきなりニカッと笑う。
『ホンマか~!?ありがとぉ!恩にきるわ。もーここ来るまでも大変やったんやで?白狐どこや言うもんが次から次へと現れてやなぁ、帰れ言うても聞けへんから2人でしばき回してきたとこやねん』
『…へ?…なんやて?』
槐は自分の耳を疑った。
『せやからお前が呼び寄せた暴走族たちや。奈良とか和歌山とか滋賀の方からもよぉ分からんチームが来ててん。全員しばいたろか思たけど途中で逃げられたわ』
『姉さんに気づいたから逃げたのよ。だから多分ここには来ないわよ』
『なんやほんなら手ぇ出さん方がよかったか。お前らがやるつもりやったなら悪いことしたな。すまん槐、許してくれ』
『え?…あ、あぁ…えぇねんえぇねん。気にせんといてくれ』
(嘘やろ?こいつら…)
『ほなお前らも気ぃつけんのやで!』
最後まで楽しそうに喋りながら2人は中に入っていってしまった。
天王道姉妹がいなくなると5人は一気に緊張から解放され、ペタンとその場に座りこんだ。
槐も心の中で安心している自分がいることに気づいた。
特に姉の眩の威圧感は半端ではなかった。心臓をつかまれているような恐怖を覚えたかと思えばいきなり人が変わったようにニコニコしだしたり、槐も他の4人も改めて天王道姉妹の凄みを知った。
『相変わらず読めん奴や…死神め…』
『おっ、やっとるやっとる』
『どことどこや?』
『暴走侍と…陽炎朱雀や。ははは!』
『なんやまだ始まったばかりやないか。もっと集まると思てたのになぁ』
『仕方ない。この辺で待っとるか』
5人はとりあえず高みの見物といった所だったが、ここで槐たちは予想もしていなかった客を招いてしまったことを知ることになる。
『お、なんか来るで』
現れたのは2台の単車だった。
カワサキの750Z2に乗った天王道煌と同じくカワサキの900Z1に乗って関西最強の女、天王道眩が工場の門の所で停まった。
『おっ、お~い!槐やないか!こんなとこで何しとんねん!』
とても軽い感じで友達にでも会ったかのようにニコニコしながら眩は話かけた。
その存在に気づいた槐たちはまず忘れかけていた恐怖を思い出した。
『…眩?…煌?お、お前ら、いつ戻ってきたんや…いや…お前らこそ、何しに来たんや』
槐は内心悔しかったが怯えていた。だが怯えつつもなんとか向き合って言うと、まず煌が眉をつり上げた。
『ちょっと槐。まだ私ならともかく、姉さんには敬語を使いなさいよ。殺されたいの?』
煌は鋭い目つきで槐の顔を覗きこむようにして言うと更ににらみを利かせた。まるで今にも喉に噛みつこうとしている獣のようだ。
槐たちは咲薇や萼、そして煌と同い年で眩は1つ上であり、そもそもチームの先輩である。
自分の崇拝する姉に無礼な口をきく槐に煌は今にも殴りかかってしまいそうだが、当の眩はそんなこと気にせず笑っていた。
『まぁまぁえぇやないか煌。そうか分かったぞ。このくだらん抗争影で操っとったのお前やな?槐。』
『くだらんやと?それは心外やな。こんなおもろいゲームは久しぶりや。それに操る言うのも聞き捨てならんな。あたしはただ白狐がやりやすいようにしてやっただけや』
白狐という言葉が出てきて天王道姉妹の顔つきが変わった。
『…まさか、お前まで白狐狩る言いだすんちゃうやろな?』
ここまで頑張って向き合ってきた槐も、その変わり様に冷や汗をかいた。
『な、なんや…お前ら、まさか知り合いなんか?』
『あの白狐言うのはあたしらの友達や。あたしらは今日あいつを守る為に来た。もしそのつもりなら、お前と言えど容赦せぇへんぞ』
眩はついさっきとは全く別人のような険しい顔つきで言った。槐は顔に出さないように必死にこらえたが恐怖のあまり1歩も動けなかった。
腰を抜かさないようにするだけで精一杯だった。
『なな、なんや、2人であたしらに勝てるつもりか?言うとくが今のあたしらは1年前とは違うで。ま、まぁえぇわ。まさか白狐がお前らの連れやったとはな。これはますますおもろなってきたで。えぇやろ、とりあえずあたしらの狙いはここに来たチームを潰すことや。あたしらの邪魔さえせんかったら今日のとこは見逃しといたるわ』
なんとか槐が口を動かした後、数秒険悪な空気が続いたが、眩はまたいきなりニカッと笑う。
『ホンマか~!?ありがとぉ!恩にきるわ。もーここ来るまでも大変やったんやで?白狐どこや言うもんが次から次へと現れてやなぁ、帰れ言うても聞けへんから2人でしばき回してきたとこやねん』
『…へ?…なんやて?』
槐は自分の耳を疑った。
『せやからお前が呼び寄せた暴走族たちや。奈良とか和歌山とか滋賀の方からもよぉ分からんチームが来ててん。全員しばいたろか思たけど途中で逃げられたわ』
『姉さんに気づいたから逃げたのよ。だから多分ここには来ないわよ』
『なんやほんなら手ぇ出さん方がよかったか。お前らがやるつもりやったなら悪いことしたな。すまん槐、許してくれ』
『え?…あ、あぁ…えぇねんえぇねん。気にせんといてくれ』
(嘘やろ?こいつら…)
『ほなお前らも気ぃつけんのやで!』
最後まで楽しそうに喋りながら2人は中に入っていってしまった。
天王道姉妹がいなくなると5人は一気に緊張から解放され、ペタンとその場に座りこんだ。
槐も心の中で安心している自分がいることに気づいた。
特に姉の眩の威圧感は半端ではなかった。心臓をつかまれているような恐怖を覚えたかと思えばいきなり人が変わったようにニコニコしだしたり、槐も他の4人も改めて天王道姉妹の凄みを知った。
『相変わらず読めん奴や…死神め…』