9話 クラブ活動

文字数 759文字

 小学校も高学年になるとクラブ活動が始まる。
 最初は料理クラブに入った。友達に誘われたからだと思う。
 毎回、材料が必要な事が大変だった。
 食べられないものや嫌いなものを作る時は困ったけれど、それらは持ち帰って誰かに渡した。

 次は手芸クラブに入った。
 なぜか、部長になった……なり手がいなかったからだ。
 こちらは毎回、材料費が大変だった。
 作る事自体は楽しくて仕方なかった。

 最後に文芸クラブに入った。
 これは私が本当に入りたいと思って、ダメ元で書いてみたものだった。
 クラブに出来るだけの人数がいたので、クラブになったらしい。
 私とこたみちゃん、そして下級生3人という少人数クラブ。
 必然的に私が部長になった。

 こたみちゃんは私に合わせて書いたらしく、3回に1回は保健室で休んでいた。
「今日は体調が悪いって言ってきて」
 と言う言葉を、何度聞いただろうか……。
 何度も言うが、私はお(しゃべ)りが苦手だ。
 こたみちゃんがお願いする『伝言』は、私にはとても難しい課題なのだと、こたみちゃんは分からない。

「自分で言って来たら?」
「体調が悪いのに、わざわざ行くなんて変じゃん」

 と言うようなやり取りを何度も繰り返して、クラブが始まる時間になってしまう。
 仕方なく私は先生に伝えに行く。
 こたみちゃんは文芸には興味がなかったのだろうと思う。
 そして、こたみちゃんが本当に保健室にいたかどうかを私は知らない。
 クラブから戻ってくると、こたみちゃんは教室にいた。
 ただのサボりという事だけはよく分かっていた。

 先生もやる気がないようで、「好きにやって」というスタンスだった。
 最初は書くための紙を用意していたけれども、それも『自分で用意して』というようになった。
 お互いに作品を見せ合うわけでもなく、好きに書いて一年のクラブ活動が終了した。
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