2話 家族との関わり

文字数 600文字

 寮とは言え、初めての一人暮らし。家族が恋しくなって……ない。
 最初は不安に思えたことも、パソコンとインターネットがあれば寂しさも不安も消え去った。

 ただ一つだけ、ほっちゃんが後ろに居ない事が、不思議な感じだった。
 ほっちゃんは私の一つ下なので、振り返るとすぐそこにほっちゃんがいるのが当たり前だった。
 けれど、ほっちゃんがこの専門学校に来ることはない。
 ここにいるのが自分だけと言う事が、とても不思議な感覚だった。

 同時に、ほっちゃんを置き去りにしてしまったような罪悪感も芽生えてくる。
 そのせいか、ほっちゃんの夢を見る様になった。
 現実ではほっちゃんから就職の相談を受けた。
 私が行かなかった道の相談をされても、と思ったけど、面接についての相談だった。
 私には推薦入試の経験しかないので、「大丈夫。練習も沢山(たくさん)するだろうし、気楽に受ければいいよ」としか言えなかった。

 父からは、年末調整のファイルの場所を教えろと連絡がきた。
 高校3年間、父の年末調整を手伝っていた。ファイルの場所は父も知っているはずなのに、1年も()つと忘れ去っていた。
 そして、私に聞くと言うのが専門の最初の年でも続いた。その後は父が一人で頑張っている。
 今、年末調整をやれと言われても出来ない。あの時、どうやっていたのか、私は全く思い出せない。

 家族が恋しいと思わなかったのは、何かと、家族から必要な連絡が来ていたせいだと思う。
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