0話 祖先と洪水
文字数 432文字
とおい とおい むかしの おはなし
山を見上げ、海を見下ろす土地にご先祖様は住んでいた。
島国のどこでもある風景。
わずかな平地に水田を作り、作物を育て集落を築き上げていた。
それらは洪水であっという間に壊される。
そしてまた、一からのやり直し。
何度それが続いたのかは知らない。
ある時、地面が揺れた。
川はいつも以上に水をたたえて、田畑を家々を飲み込んだ。
田畑を元に戻すには難しく、住む家さえも消え去った。
そして、人の命も。
ご先祖様は、その場所を離れた。
もっと安全でもっと安心できる土地。
洪水の被害のない土地を求めて、移動した。
その移動先が、私が今、暮らしている土地らしい。
川からは遠く離れた土地。
もともと、川の傍に住んでいた事は『地名』だけが示している。
川の傍の地名と、ここの地名が同じなのだ。
洪水の話はお寺の坊さん毎年一度、地域で話している事。
そして、その証拠はあちこちにある。
ただの伝承ではなくて、事実。
忘れ去られていく事実。
山を見上げ、海を見下ろす土地にご先祖様は住んでいた。
島国のどこでもある風景。
わずかな平地に水田を作り、作物を育て集落を築き上げていた。
それらは洪水であっという間に壊される。
そしてまた、一からのやり直し。
何度それが続いたのかは知らない。
ある時、地面が揺れた。
川はいつも以上に水をたたえて、田畑を家々を飲み込んだ。
田畑を元に戻すには難しく、住む家さえも消え去った。
そして、人の命も。
ご先祖様は、その場所を離れた。
もっと安全でもっと安心できる土地。
洪水の被害のない土地を求めて、移動した。
その移動先が、私が今、暮らしている土地らしい。
川からは遠く離れた土地。
もともと、川の傍に住んでいた事は『地名』だけが示している。
川の傍の地名と、ここの地名が同じなのだ。
洪水の話はお寺の坊さん毎年一度、地域で話している事。
そして、その証拠はあちこちにある。
ただの伝承ではなくて、事実。
忘れ去られていく事実。