1話 新しい土地と新しい世界

文字数 939文字

 県外の専門学校に入学した。

 専門学校では寮にった。
 複数の学校の子が出入りする女子寮。男女混合の寮もあったけど、気分的に男がいるのは落ち着かないと思ったので、女子寮にした。

 新しい土地、新しい人たちに囲まれて、新しい生活がスタートした。
 まずは……制服が無い!!という、服の悩みにぶつかった。
 小中高とずっと制服を着る事が当たり前だった私にとって、『制服がない』と言う事は着るものがないということだった。
 オシャレとは無縁で制服も真面目に着てきた私にとって、私服はハードルが高すぎて、頭痛と眩暈(めまい)を覚えた。

 何を買えばいいのか分からず、何が自分に合うのかもわからず、好きな服というものもない。
 いっそ裸がOKなら、それでいいとさえ思ってしまうほど、服には困った。
 結局、無難なジーパンにシャツ系というスタイルになった。チェックのシャツがお気に入り。
 イラストや文字入りのものは、ほとんど買った事がない。

 まだ春休みのうちに、寮に入ったので、寮生活の始まりはとても静かだった。
 なにせ、休みなので寮生がいない。いるのは寮長さんと寮母さん、そして数人の寮生……とはいえ、顔を合わせることはほぼなかった。

 静まり返る寮の中。
 洗濯機を使いたくなり、洗濯機のある場所へ行くと、一層式の洗濯機が置いてあった。私の家では二層式の洗濯機しか使った事がなかった。
 しばらく、洗濯機を眺めた後、寮長さんに洗濯機の使い方を聞きにいった。
 使い方を聞くと、さほど変わりがないという事が分かって、安心して使う事が出来た。
 ただ、外に干すと風が強くて、初っ端から洗濯をつるすやつを壊した。
 それ以降、外に干すのはやめて、狭い部屋にロープを張ってつるす事にした。


 学校が始まるまでには、時間があった。
 ある日、食事後に寮長さんが「この子も一緒の学校だよ」と私に伝えてきた。
 その子が「こんにちは」と言うので、私も返したが、どうしていいのか分からない。
 その場はまだ寮長さんとその子の話が続いていたので、私は部屋に戻った。
 次の食事の時間に、その子が私の部屋にやってきて、「一緒に食事に行こう」と誘ってきた。
 そこから、少しずつ親しくなった。

 気がつくと、食事も学校の行き帰りも、その子と一緒に行動していた。
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