4話 いとこの家の離婚

文字数 646文字

 父の兄……私にとっての伯父(おじ)夫婦が離婚した。
 それは唐突な話だった。
 断片的な話を繋ぎ合わせると、伯母(おば)さんが家を出て行ったという事だった。
 まだ小学生の子供3人を残して、伯母(おば)さんは行ってしまった。
 後から聞いた話だが、子供を連れて行こうとしたが、できなかったらしい。

 小学生だった私は、それがどんなことになるのか分かっていなかった。
 けれど、段々理解した。

 まず、いとこたちとの関係が変わってしまった。
 それまでは、お互いにただ遊び相手でしかなかった。
 それが、いとこたちは『家事をする子供』になった。
 対して私たちは『勉強ができる子供』として、父は扱った。
 いとこの家で、料理をしているのをみれば、「おまえたちは出来ないもんな。スズメたちに習え」と父は私に言った。
 夏休みになれば「おまえたちがスズメたちに勉強を教えてやれ」と
 それまで、スズメちゃんと私の学力はそれほど差がなかった。それがあっという間に開いた。
 母親が居ない状況というだけで、不安定になるだけではなく、スズメちゃんたちは家事にも時間がとられる。
 学力が落ちた理由はその辺りにあるのではないかと思う。
 さらにそこに、母親の噂話(うわさばなし)を耳にすれば……勉強どころではない。

 二つ上のアゲハちゃんは、よからぬ輩と関わるようになった。
 夜遊びもするようになった。
 そんなアゲハちゃんを探すのは、うちの親だった。
 父だけではない。父が母も連れて、私たちを家に置いて、アゲハちゃんを探しに行った。
 伯父(おじ)夫婦の離婚は、私からも親を奪っていった。
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