11話 鬼ごっこと賞
文字数 998文字
少し長めの休み時間は校庭に出ることが決まりだった。
校庭に出たからと言って、何かをするわけではない。
かと言って、壁の花になっていようものなら「もっと遊んできなさい」と先生に追い立てられる。
休み時間なのに、休んでいてはいけないその時間を持て余していた。
他の子達はさっさと校庭に出て遊んでいる。
自分から声をかけることが出来ない私は、先生の動向を見ながら校庭を適当に動き回っていた。
やがて、一人のクラスメイトが声をかけてきた。
「鬼ごっこしよう」
二人きりの鬼ごっこをした。
私は運動音痴で足が遅い。すぐに捕まる。そして、クラスメイトの事はなかなか捕まえられない。
ほぼ私が鬼になる鬼ごっこだった。
しばらくは楽しく遊んでいたのだけれども……『鬼』ばかりなのはさすがに嫌だ。
数日たつと私は「もう嫌」と、相手に鬼ごっこの拒否を伝えた。
そうすると、相手は私のはちまきを取って「貰 った」と走り出す。
はちまきを人質に鬼ごっこが繰り返された。
そしてさらに1週間ほど過ぎた頃、それを見ていた別のクラスメイトが「やめなよ」と注意をして来た。
それ以降、鬼ごっこに誘われる事はなくなった。
正直、なぜ彼女が私と鬼ごっこをしていたのかよく分かない。
彼女は成績優秀な真面目タイプ。
友達なら他にもいたと思うのだけれども、なぜ私だったのか……考えても分からなかった。
ついでに、別に彼女は私をいじめていたわけではない。
はちまきは必ず休憩時間が終わると返ってきたし、それ以外は何の接触もなかった。
***
図工の時間に絵を描いた。
たぶん、昔話をイメージして絵を描けという事だったと思う。
私は、『かさこじぞう』の絵を描いた。
単に面白い絵にしたいためだけに、障子に目を描いた。
家の向こうから地蔵がやってくるのを、家の中の爺様と婆様が覗 いている絵だったと思う。
その絵が、賞を取った。
何の賞だったか忘れたが、クラスに数人がとるような賞で珍しいものではなかった。
ただ、いつもならその賞はいつものメンバーに送られるものだったと思う。
それが、その時に限って、『いつも賞を取る人たち』とは違う子達が入っていた。
後からそれが、「他の子にも、賞をあげようという事になったんだって」という、うわさが入ってきた。
だから、いつものメンバーではないのだと。
私は、そのうわさに納得してしまった。
真偽は分からない。
校庭に出たからと言って、何かをするわけではない。
かと言って、壁の花になっていようものなら「もっと遊んできなさい」と先生に追い立てられる。
休み時間なのに、休んでいてはいけないその時間を持て余していた。
他の子達はさっさと校庭に出て遊んでいる。
自分から声をかけることが出来ない私は、先生の動向を見ながら校庭を適当に動き回っていた。
やがて、一人のクラスメイトが声をかけてきた。
「鬼ごっこしよう」
二人きりの鬼ごっこをした。
私は運動音痴で足が遅い。すぐに捕まる。そして、クラスメイトの事はなかなか捕まえられない。
ほぼ私が鬼になる鬼ごっこだった。
しばらくは楽しく遊んでいたのだけれども……『鬼』ばかりなのはさすがに嫌だ。
数日たつと私は「もう嫌」と、相手に鬼ごっこの拒否を伝えた。
そうすると、相手は私のはちまきを取って「
はちまきを人質に鬼ごっこが繰り返された。
そしてさらに1週間ほど過ぎた頃、それを見ていた別のクラスメイトが「やめなよ」と注意をして来た。
それ以降、鬼ごっこに誘われる事はなくなった。
正直、なぜ彼女が私と鬼ごっこをしていたのかよく分かない。
彼女は成績優秀な真面目タイプ。
友達なら他にもいたと思うのだけれども、なぜ私だったのか……考えても分からなかった。
ついでに、別に彼女は私をいじめていたわけではない。
はちまきは必ず休憩時間が終わると返ってきたし、それ以外は何の接触もなかった。
***
図工の時間に絵を描いた。
たぶん、昔話をイメージして絵を描けという事だったと思う。
私は、『かさこじぞう』の絵を描いた。
単に面白い絵にしたいためだけに、障子に目を描いた。
家の向こうから地蔵がやってくるのを、家の中の爺様と婆様が
その絵が、賞を取った。
何の賞だったか忘れたが、クラスに数人がとるような賞で珍しいものではなかった。
ただ、いつもならその賞はいつものメンバーに送られるものだったと思う。
それが、その時に限って、『いつも賞を取る人たち』とは違う子達が入っていた。
後からそれが、「他の子にも、賞をあげようという事になったんだって」という、うわさが入ってきた。
だから、いつものメンバーではないのだと。
私は、そのうわさに納得してしまった。
真偽は分からない。