初詣(25)

文字数 532文字

「俺リハビリ中だからうまく出来ないかもしれないけど。」

 さっきから成沢の言う意味がよくわからなかった。

「つきあってくれる?」

「リハビリに?恋愛とかの?」

 私は聞いた。

「俺とつきあって。」

「つきあうって?つきあうってまさか・・・」

「俺とお付き合いしてください、交際してくださいってこと。」

 私は何も言えなくてぽかんと成沢の顔を見つめた。耳を疑った。俺とお付き合いしてください・・・?

 頭が働かない。意味がピンと来ない。外国語を聞いているみたいに意味が頭に入って来ない。

「なんか言ってよ。」

 成沢が困ったような顔で私の顔を見て言った。思考がビジーでフリーズしてしまっていて口も聞けない。

 ひたすら成沢の顔をじっと見つめていた。成沢の言葉がやっと飲み込めてきた。

 涙がじわっ溢れてきた。成沢の顔がぼやける。聞き間違いじゃないよね?私の勝手な解釈じゃないよね?

「泣かないでよ。」

 成沢は私と向き合って私を腕の中に抱いた。

「嫌なの?」

 成沢が聞いた。私は激しく首を横に振った。

「俺のこと嫌い?」

 私はずっと首を横に降り続けた。

「だって・・・」

 やっと口が聞けるようになった。

「ん?」

「だって俺にとっては女じゃないって言ってたじゃん・・・だから・・・」

 泣きそうな声で言った。
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