鼓動のensemble(16)
文字数 417文字
「寒っ。」
玄関から外に出ると思わずそう口からついて出た。真冬の深夜は凍りそうな気温に下がっていた。
「寒いな。」
勇輝は私を包むように抱いて歩きはじめた。マンションのエントランスまでは約5分。
その5分がこれまでよりずっと幸せに感じる。勇輝の腕に包まれて彼の匂いに陶酔する。
(彼とやっと結ばれた。こんなに素敵な人ととうとう・・・夢みたい・・・)
私はそっと瞳を閉じて勇輝の胸に頭をもたげて彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
幸せが体の隅々まで広がっていくようで夢心地で気が遠くなりそうな感じがした。
「着いちゃった。」
「うん。」
「ありがとう。送ってくれて。」
「寒いから早く中入って。」
勇輝は私にエントランスの中に入るように顎をしゃくった。
「気をつけて帰って。」
私は後ろ向きに後退しながら手を振った。
「おやすみ。また明日。」
「おやすみ。」
勇輝も手を振り返した。いつものように私が見えなくなるまでエントランスの外側で見送ってくれた。
玄関から外に出ると思わずそう口からついて出た。真冬の深夜は凍りそうな気温に下がっていた。
「寒いな。」
勇輝は私を包むように抱いて歩きはじめた。マンションのエントランスまでは約5分。
その5分がこれまでよりずっと幸せに感じる。勇輝の腕に包まれて彼の匂いに陶酔する。
(彼とやっと結ばれた。こんなに素敵な人ととうとう・・・夢みたい・・・)
私はそっと瞳を閉じて勇輝の胸に頭をもたげて彼の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
幸せが体の隅々まで広がっていくようで夢心地で気が遠くなりそうな感じがした。
「着いちゃった。」
「うん。」
「ありがとう。送ってくれて。」
「寒いから早く中入って。」
勇輝は私にエントランスの中に入るように顎をしゃくった。
「気をつけて帰って。」
私は後ろ向きに後退しながら手を振った。
「おやすみ。また明日。」
「おやすみ。」
勇輝も手を振り返した。いつものように私が見えなくなるまでエントランスの外側で見送ってくれた。