二次会(5)

文字数 323文字

「大丈夫?」

 私の脇で黙って控えていた安藤さんが口を開いた。

「ごめん。立ち入るつもりはないけど。」

「大丈夫じゃない。全然。」

 私は持っていたグラスからアルコールを一口ぐっと飲んでしまった。会場ではこれから乾杯が始まろうとするのに。

「帰る。」

 唖然とする安藤さんにグラスを渡して荷物を取りに行こうとした。

「優希、待って。どうしたの?」

 奈津美が来て私を引き止めた。

「ちょっと待って。乾杯が終わるまで待ってて。」

「わかった。」

 私は荷物を持ってきて乾杯が終わるのを待つことにした。

「皆様お手元にグラスはございますか?」

 その時彼女が私に気づいた。
 目が合った。彼女の目が獲物を捕らえた猛獣のように燃えてくるのがわかった。

 私は文字通り動けなくなった。
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