Fiori(8)

文字数 444文字

「なんか勘違いしてるんだよ。」

 成沢は言い訳みたいに言った。

「そうみたいだね。」

 そう言うしかなくて言った。

「食べよう。」

 成沢が言った。

 私は黙ってトマトとモッツァレラとルッコラを取り皿に取り分けた。

「はい。」

「ありがとう。珍しいね。」

 成沢は珍種の生物でも見るみたいな様子で私を見て言った。

「何が?」

「今日は女の子らしいじゃん。取り分けてくれるなんて。」

「当たり前でしょ?」

「今までそんなことしたことないじゃん。」

「今まで取り分けて食べるようなものを一緒に食べてないだけです。」

 私は憮然として言った。

「そうかぁ?そうでもないと思うけどな。」

「そんなことないです。」

 私は言い張った。

「初めて会った時だって1人で信じられないくらい食ってたぞ。」

 冷やかしながら成沢が言った。

「あの時は・・・いいから早く食べよ。」

 私は形勢不利になってきたので言い合いから撤退して食べ始めることにした。

「甘!」

 トマトを口にして思わずそう言った。

「甘くてジューシー。美味しい。」

 急に空腹を感じてきた。
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