二次会(14)

文字数 286文字

「毎日会ってたんだね。」

「会ってたって、別に会おうとして会ってたわけじゃない。偶然顔を合わすことはあるけど。」

「そんなこと知らなかった。」

 かつて彼女から言われた台詞が頭に浮かんだ。

 『ずっと一緒だったの。さっきまで。聞いてみれば。事実だから。』

 同期と朝まで飲んでいたと勇輝が言っていた翌日のことだ。彼女は嘘を言ったわけではないのだ。

 私が何も知らなかっただけ。急にしらけたような気分で一瞬自虐的な苦笑いが浮かんだ。

「私が何も知らなかっただけだけなんだね。バカみたい。」

 つきあってると言いつつ自分だけが蚊帳の外で何も知らずにいたことにじわじわと打ちのめされつつあった。






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