研修旅行(9)

文字数 385文字

「俺ちょっと頼まれたものがあるから。」

 山崎リーダーとはゲートに向かう途中で別れた。30分前にはゲートの手前で落ち合う約束になっていた。あまり時間はない。

 私も免税店を一巡してみたが何も買わなかった。まだ機会はある。

 飲み物を買いゲートの近くのベンチに座った。携帯を取り出し勇輝に電話をかけた。

 数回のコールで勇輝が電話に出た。

「そろそろ出発だから。」

「うん。気をつけてね。」

「帰ったら電話するね。」

「うん。」

「じゃあ。」

「優?」

「ん?何?」

「うん。なんでもない。いってらっしゃい。」

「じゃあね。いってきます。」

 なんでもない会話だったけれど勇輝への気持ち、勇輝が大好きでたまらない気持ちで胸がいっぱいになる。

 すごくすごく会いたい。

 この瞬間、胸が痛いほど無性に勇輝に会いたかった。

 (勇輝、大好き。行ってくるね。)

 すでに切れている携帯に向かって心の中で話し掛けた。
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