二次会(13)

文字数 288文字

 私は腕を振りほどいた。

「離して。」

 涙が滲んだ。

「ごめん。」

 勇輝は掴んでいた腕を放した。

「ちゃんと話すからとにかく中に入ってよ。」

 しぶしぶ私は靴を脱いで勇輝に手を引かれるまま部屋の中に入った。

「ごめん。」

 私をリビングのソファーに座らせてから自分も隣りに腰掛けた。

「本当にごめん。」

 勇輝は私の手を取ろうとした。私はその手を払いのけた。その仕草に自分で傷ついた。

 私は静かにすすり泣き始めた。いったん泣き始めてしまうとこらえていた涙が次から次へと溢れてきてしゃくりあげながら嗚咽した。

 勇輝はいたたまれないような様子で立っていくとマグカップにコーヒーを入れて戻ってきた。


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