私の知らない彼(8)

文字数 587文字

「だからつき合ってるつもりなのか聞いてみたの。勇輝はそんなんじゃないんじゃないの?3ヶ月?」

「あなたには関係ない。」

 私は精一杯虚勢を張ってみた。

「たかが3ヶ月くらい。」

 彼女は鼻で笑った。

「たかが3ヶ月くらいひとの男と寝たからって彼女ヅラしないでくれる?勇輝も私とできなかった間、女とヤリたかっただけでしょ、ただのセフレじゃん。」

「ひとの男ってどういうことよ!あんたこそあきらめが悪いんじゃないの。」

 はらわたが煮え繰り返っていた。この女のペースに乗ってはいけないと思いつつ冷静ではいられなかった。

「私と勇輝はその10倍、待ってよ、いや20倍近くつき合ってるの。」

「だから何?結局別れたんじゃない。」

 ショックを受けつつ悟られまいとしながら私は言った。

「別れた?ううん、あれは私の間違いだった。」

 彼女は余裕を感じさせるようににっこりと笑って言った。私は劣勢のようでじりじりと焦っていた。

「長くつき合ってるとお互い馴れ合い過ぎて。よそ見もしたくなるわ。最初が私だから今回の勇輝の浮気も許す。勇輝のは浮気っていってもセフレだし。」

 そう言ってバカにしたようにせせら笑った。彼女は手綱を緩めることなく私に攻勢を仕掛けてくる。私は守勢に回らざるを得なかった。

「何言ってるの?往生際悪すぎ。浮気じゃなくてあなたとは終わってるの。それをあなたが認められないだけでしょ?可哀相な女。」
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