婚約者(3)
文字数 568文字
(はぁ・・・なんでこんなことに・・・)
さっきまでの舞い上がった気分はガスが抜けた風船のように萎んで、風にふらふら揺れて地表辺りを漂っているようだった。
しかしそんなふらついた気持ちも成沢が玄関のインターホンを押すまでだった。
一気に緊張感が増した。
「開けて。」
成沢がインターホンに向かって言う。
「あのさ・・・変なこと言われるかもしれないけど」
成沢が私を振り返り言いかけてる途中でドアが開いた。
私は
「え?」
と聞き返した途中だった。不審な表情を慌てて隠して言葉を飲み込んで下を向いた。
「いらっしゃい。待ってたのよ。遅かったわね。」
母親らしき女性の声が成沢に言った。
「さあ、どうぞ。こちらにいらして。」
声音が1オクターブ上がって明らかに私に話し掛けられた。
「こんにちは。」
(もうどうにでもなれ!)
半分開き直って顔を上げて笑顔を作った。
「はじめまして。高橋優希です。」
お辞儀をして言った。
頭を上げると不思議そうな顔をした成沢にそっくりな顔の中年女性がいた。
「ユウキ・・・さん?」
「はい。」
「ユウキさんて言うの?あなたも?」
「はい。」
「あら・・・」
成沢の母親はきょとんとしたような表情から慌てて笑顔を作ったように見えた。
「どうぞ。」
しゃがんでスリッパをすすめた。
「失礼します。」
私は恐る恐る成沢について部屋に入った。
さっきまでの舞い上がった気分はガスが抜けた風船のように萎んで、風にふらふら揺れて地表辺りを漂っているようだった。
しかしそんなふらついた気持ちも成沢が玄関のインターホンを押すまでだった。
一気に緊張感が増した。
「開けて。」
成沢がインターホンに向かって言う。
「あのさ・・・変なこと言われるかもしれないけど」
成沢が私を振り返り言いかけてる途中でドアが開いた。
私は
「え?」
と聞き返した途中だった。不審な表情を慌てて隠して言葉を飲み込んで下を向いた。
「いらっしゃい。待ってたのよ。遅かったわね。」
母親らしき女性の声が成沢に言った。
「さあ、どうぞ。こちらにいらして。」
声音が1オクターブ上がって明らかに私に話し掛けられた。
「こんにちは。」
(もうどうにでもなれ!)
半分開き直って顔を上げて笑顔を作った。
「はじめまして。高橋優希です。」
お辞儀をして言った。
頭を上げると不思議そうな顔をした成沢にそっくりな顔の中年女性がいた。
「ユウキ・・・さん?」
「はい。」
「ユウキさんて言うの?あなたも?」
「はい。」
「あら・・・」
成沢の母親はきょとんとしたような表情から慌てて笑顔を作ったように見えた。
「どうぞ。」
しゃがんでスリッパをすすめた。
「失礼します。」
私は恐る恐る成沢について部屋に入った。