初詣(17)

文字数 567文字

「うん。やらされてた。子供の頃から。柔道、合気道。あのとおりの親だろ?文武両道って。」

「へぇー。武道とかって意外。イメージ湧かない。」

 私は言った。

「さすがに中学までで武道はもういいやって。サッカーもやってたから高校ではラグビーやってた。」

「意外とスポーツ万能だったりする?」

 私は聞いた。

「意外と、はいらないよ。水泳もやってたしスポーツは見るのもやるのも好きだよ。」

 成沢はイメージ的にはスポーツというより文系とか芸術系という印象だった。

「そうなんだ。イメージと違うね。」

「まあ武道は兄貴達ほど強くはないけどね。上の兄貴が1番強いと思う。頭も1番良かったし。」

 そういう成沢も優秀で知られる名門大学出身だったはずだ。

「真ん中の兄貴は頭も良かったしスポーツも上手いけどどっちかいうと絵を描いたり音楽やったりって方が向いてたみたいだな。」

「なんとなくそんな感じする。」

 私は言った。
 でもいかにも芸術家っぽくはない。気性も穏やかそうに見える。

「穏やかっぽく見えるだろ?」

 成沢が私の心を読んだみたいに言った。

「でも感覚的なタイプだよ。」

 成沢は言った。

「俺が1番平凡。何を取ってもこれっていうもんはないの。」

 多少自嘲気味だ。らしくない。

「私から見ればなんでも出来るし何もかも持ってるように見えるよ。」

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