ウエディング手配(1)

文字数 522文字

 不発弾を抱えたままにしろ、私と勇輝の間に平穏が戻っていた。

 6月に入りジューンブライドにちなんだブライダルフェアがあちこちで開催された。

 実際にはその何ヶ月も前からの準備が必要なわけでブライダルフェアに来場するカップルは一年後の挙式を想定しているらしい。

 私達ウエディングチームもハネムーンの取り込みやウエディングプランの手配やチェックなどで本格的に稼働し始めた。

 ハワイウエディング研修旅行、ホノルルウエディングの現地斡旋体制などについての研修日程を組んだ販売店向けの研修旅行の準備で私は連日残業していた。

 この研修旅行の添乗は山崎リーダーでサブ添として私も参加することが決まっていた。

「絵里、大丈夫?帰っていいよ。」

 さっきから絵里は調子が悪そうにしていた。

「大丈夫ですよ。ちょっとトイレに行ってきます。」

 そう言いつつも胃のあたりを押さえて具合が悪そうだ。

「大丈夫?もう終わるから本当に帰っていいよ。」

 私は絵里の顔を覗くようにして言った。

「大丈夫です。ちょっと。」

 絵里はトイレの方にふらふらと歩いて行った。

 (大丈夫かなぁ・・・)

 律儀なところがある絵里は多分無理しているに違いない。私は急いで仕事を終わらせようとスパートをかけた。
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