第49話 楢山節考 深沢七郎

文字数 386文字

信州の山里、江戸時代のことだろうか。七十歳になった老人は、楢山の神様のもとへいくことになる。家族が生きていくために食べぶちを確保しなければならない。おりんはその年になったら、長男に背負われて、山へ行くことを決めていた。長男はもう少し先にしたらと言う。曾孫もできそうだし、しきたり通り、12月の雪の舞う頃、背負われて楢山の骸骨の多い岩山に置いてもらう。帰り道後ろを見てはいけないという決まりがあった。雪が降り出した、母は予言していた、私の楢山行のときは雪がふると、長男は振り向き、母親のいる岩にもどり、「カーちゃんの言った通り雪が降ったよ」という。母は雪をかぶりながら、後ろ手を振る。早く行け、早く行けという合図だ。長男は一目散はしって山を下った。七曲で七十歳の爺が縄に縛られ谷底へ落とされていた。涙がでた。食べれないことが、こんな厳しい環境だったのかと思うと、やるせない。
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