第58話 深夜特急 サグレス 沢木耕太郎
文字数 504文字
私は打ち寄せる波の音を聞きながら、断崖の淵を歩いていた。
崖から覗きこむと、海水は底の底まで見透せそうなほど澄んでる。崖に打ち寄せる波もさほど激しいものではない。
私はぼんやり時を過ごすうちに、不思議な感情にとらわれるようになった。言葉にすれば、ここには以前来たことがあるのではないだろろうか、という思いだ。
もちろんそんなことはない。あるはずがない。サグレスという名前を知ったのもほんの三日前に過ぎないのだ。
わかっていることは、それが私の内部の深い所から湧いてくる感情だということだ。
感想:沢木は、見たことを美しい文章で書く。これはなかなか難しいことである。美しい言葉、美しい文章。そしてそれに対する自分の解釈。心の中の何かを捜し求めての旅なのだろうか。
一艘、漁船が海に漂うように浮かんでいる。陽が傾き、海が輝き始める。テージョ河の水はプラチナのように輝いていたが、サングレスの海は細かな金箔を敷き詰めたように黄金色に輝いていた。
ふと、私はここに来るために長いために長い旅を続けてきたのではないだろうか、と思った。いくつもの偶然が私をここに連れてきてくれた。その偶然を神などなどという言葉で置き換える必要はない。
崖から覗きこむと、海水は底の底まで見透せそうなほど澄んでる。崖に打ち寄せる波もさほど激しいものではない。
私はぼんやり時を過ごすうちに、不思議な感情にとらわれるようになった。言葉にすれば、ここには以前来たことがあるのではないだろろうか、という思いだ。
もちろんそんなことはない。あるはずがない。サグレスという名前を知ったのもほんの三日前に過ぎないのだ。
わかっていることは、それが私の内部の深い所から湧いてくる感情だということだ。
感想:沢木は、見たことを美しい文章で書く。これはなかなか難しいことである。美しい言葉、美しい文章。そしてそれに対する自分の解釈。心の中の何かを捜し求めての旅なのだろうか。
一艘、漁船が海に漂うように浮かんでいる。陽が傾き、海が輝き始める。テージョ河の水はプラチナのように輝いていたが、サングレスの海は細かな金箔を敷き詰めたように黄金色に輝いていた。
ふと、私はここに来るために長いために長い旅を続けてきたのではないだろうか、と思った。いくつもの偶然が私をここに連れてきてくれた。その偶然を神などなどという言葉で置き換える必要はない。