第8話 犬 芥川

文字数 911文字

□若い木こりは笛が上手で、いつも山の中で一人吹いていた。木の精たちは、その音色に聞き惚れていた。片足の精霊が感謝の印に木こりの欲しい犬を上げた。白犬は「嗅ぐ」という名で匂いに敏感だった。次に片腕の霊が、感謝として犬をあげた。黒犬で「飛べ」という空飛ぶ犬だ。次に片眼の霊が、斑犬をくれた。斑は「噛め」という噛みつき犬だった。三匹を連れて行くと馬に乗った二人の若武者に出合った。「何処にいくのですか」と聞くと。「大臣の姉妹がさらわれたので懸賞金も貰えるし、探しに行く所だ」という。木こりは白犬に、何処にいるか嗅げ、嗅げと言うと、葛尾の洞窟だという。木こりは黒犬に飛べ飛べといい、白と斑と木こりは黒犬に乗り、葛尾に着く。と、風が吹き「いつも音楽有難う」といった。洞窟の悪漢を噛めが食い殺し、姫を救った。次の姫も同じように救い出し、黒犬に3人と2匹が乗り城へ飛ぶ途中、二人の若武者がいたので、下りて行き、顛末を話した。すると若武者は姫と犬たちを横取りし黒犬に乗り、城へ飛んでいった。若者は大臣から褒美をもらい、優雅に暮らしていた。木こりは悔しがった。すると突然、風が吹き、風の精から金銀の鎧や兜が与えられた。木こりは、身に纏い、城の大臣に会い、事情を説明した。姫は「木こりが助けてくれた本物です」と証明し若者は追い出され、木こりは城の跡取りと成り、優雅に暮らしたという。
※この文も読んでいて、スムーズに読め、頭にもスーと入って行った。架空の世界で何か奥にあるものを表現しようとしているのだろう。笛が上手ければ、誰でもこうなれるのだろうか。なかなか音楽家といっても報われない人が多いようだ。白・黒・の二種の犬。嗅覚と噛むのは備わっているが、飛ぶ能力はない。匂いを嗅ぎ追跡し、見付け噛みつくのは、実際に可能である。しかし飛ぶという能力はおとぎ話の世界となる。斑犬は飛ぶことが出来る。若者に姫と斑犬をだまし取られた。城に歩きで辿り着き、大臣に面会。姉妹が助けてくれた礼に身に着けていた簪を、木こりの髪に差して与えた。これが、真偽の証明になった。悪いことをしても、いつかばれてしまう。だから悪いことはいけないという教訓童話なのだろうか。
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