第3話 文章セミナーとの出合い

文字数 934文字

小倉にある文章セミナーという所の見学に行った。以前、朝日カルチャーに通っていたが、文章講座の元新聞記者の先生が病気になり閉講した為、新しい、師匠を捜していた。受講生は3人で、月一回、後藤みな子先生が来て、生徒が原稿用紙10枚のエッセイを提出し、自分で読む。一回1000円の受講料らしい。先生は「私の趣味でやっている」と言う。採算を度外視。なんか気に入った。生徒は母親の介護の顛末を書いていた。先生は生徒を観察する、新人の私にも、「意見はどうですか」と質問する。他の生徒にも色々な角度で質問し、会話する。ざっくばらんでズケズケと物を言う先生のようだ。話の途中、文書を書く心得のようなものを語ってくれた。人をよく観察し、考えて小説を書くらしい。「直木賞に何回かノミネートされたが、受賞までいかなかった」と、紹介してくれた知人が話していた。もう高齢者の仲間入りされているように推測する。この1年間はこの先生から、吸収できるものをこの平凡な頭の中に採り入れ、せめてエッセイ公募で佳作にでも入れるよう、頑張ろうと決意を新たにした。「読む」「書く」「考える」先生は言う。「徒然草を読んでいるのですが」と私が言うと、「昔の事で意味が分からないところがあるし、現代物が良い」という。「例えば、樋口一葉のものとか。これも古典の部類に入ったかもしれない」「原稿用紙10枚書いて、持ってきてください」と来月の話しをしてくれた。「以前は2枚を基本に作文を書いていたのですが」と尋ねると、「それでは、中身が何も書けない」と仰る。先生の持論は「小林秀雄は自分の心の中を語ると言うが、私は自分を語る。自分は何を考えているのか。心の底。自分にとり、かけがえの無いことを語る」と仰る。さすが小説家であると思った。光るものがある。「若い頃、コップという題で、何か書けと言われたことがある」と昔の思いでも語ってくれた。「書くことは勢い。書くリズムがある。脳細胞を内へ押し込んでいく。頭から布団かぶって、半日考えに考える。考えを活性化させ、先ずは思った通りに書いていく。そして考え修正していく」断片的に語られる内容は、今までと違った自分の考えを変革していくような嬉しい感じがした。R4・02・23 下邑成秋

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