第52話 国家の品格 藤原正彦

文字数 734文字

品格ある国家の指標は下記の四つである。
その①独立不羈:国家は自らの意志に従って行動のできる独立国である。現代日本は、ほとんどアメリカの植民地状態にある。祖国への誇りと自信が戦後失われてしまった。誇りと自信が無いと、繁栄しているならどこの植民地であろうと構わないのか。自分の国は自分で守るという独立不羈の心はないのか。 祖国への誇りと自信を取り戻すこと。
 食糧自給率、英国75%、ドイツ90%、仏は輸出国である。日本は40%弱である。独立国としては問題。
その②高い道徳:日本人の道徳の高さ。日本人は生まれながらに持っている。
 最近では市場経済によりはびこった金銭至上主義に、徹底的に痛めつけられている。野卑な諸外国に合わせず、高い道徳と国柄を保つこと、そのために情緒と形を取り戻すべき。日本人が、この特性により世界に範を垂れることは、人類への貢献なのだ。
その③美しい田園:「日本の田園は公園だった。日本の道は夢のようだった」などと維新の頃、訪れた欧米人は褒めていた。日本の田園は、市場原理により、ここ十数年はすっかり荒らされてしまった。金銭至上主義に冒されず、美しい田園を保つこと。農民が泣いていないということが美しい田園につながる
 経済的にしわ寄せを受けやすい農民に心が配られていて、農民が安心して働く環境つくり。祖国愛や惻隠の情を生かすこと。
その④天才の輩出:金銭を低く見るという武士道が忘れられつつある。天才を輩出するには、役に立たないものや精神性を尊ぶ土壌、美の存在、跪く心などが必要。
 日本人が美しい情緒と形を身に付け、品格ある国家を保つことは人類への責務と思う。四半世紀世界を支配した欧米の教義は破綻し始めた。世界を救うのは日本人しかいない。

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