第48話 人間失格 太宰治

文字数 1,183文字

金持ちで黄族議員の六男の生まれ。坊っちゃん育ち。人間の生活が見当がつかない。人の苦しみが分からない。人間を畏れていながら、思いきれない。気まずさに耐えられなく道化の真似をする。一言も本当のことを言わない子供だった。人間不信。自分の姿を隠蔽した。人に殺されたいと思っても、殺したいとは思わない。女は男より難解。女は人の居る所では自分を蔑む、誰もいなくなるとひしと抱きしめる。女は道化にくつろぎを覚える。中学時代の下宿の姉妹も部屋に来て自分に接近する。東京で父の別荘に寄宿、そこで都会の与太者の画学生の堀木と仲良くなり、酒、たばこ。淫売婦の遊び手ほどきしてもらう。自分に女に夢を見させる雰囲気がある。別荘がなくなり、古い下宿に移り、金に困る。下宿の娘、高等師範の女と親密になる。銀座のカフェの女給と一夜を共にする。女給の夫は刑務所、女も人間の営みにつかれ死を望む。自分も貧乏で銅銭三枚しか財布にない。屈辱を感じた。一緒に死のうと思い、鎌倉の海に飛び込んだ。女は死に、自分は助かった。十九歳の学生であり、起訴猶予になった。父の命令でヒラメの家で世話になり監視される。ヒラメの家を抜け出して、堀木の家に行く。丁度居合わせた出版社の女が、家に来てもいいと住ませてもらう。同棲しエロ漫画を描いて収入を得る。銀座に飲みに行く。京橋のスタンドバーのマダムの二階に泊まり込むことになる。酒におぼれる。バーの向いのたばこ屋の娘ヨシちゃんと仲良くなり結婚する。漫画を描き、信頼してくれるヨシちゃんとまともな生活する。そこへ堀木が現れ、またバー通い始まる。堀木と自宅二階で飲んでいた時、ヨシ子が小男と2匹の動物になっていた。ヨシ子が犯されたことより、ヨシ子の信頼が汚された事が、生きておれないほどの苦悩になった。アル中になり、催眠剤を致死量以上飲んだ。三昼夜意識不明。医者は過失とみなし警察へ届けなかった。枕元にヒラメとバーのマダムがいた。自分はボロボロ涙を流しながら、「ヨシ子とわかれさせてくれ」と言った。しかしまだ同居していた。大雪の銀座裏で初めて吐血した。薬やに行き、松葉杖の奥さんと仲良くなり醜関係になり、モルヒネの注射液を貰うようになる。薬代もかさみツケの借金が恐ろしく高額になる。半狂乱になり死にたい。地獄から逃れるため、故郷の父へ手紙を書いた。返事がない。今夜、十本いっきに注射し大川へ飛びこむ覚悟だった。ヒラメが堀木と現れた。自分は車に乗せられ、入院することになった。若い医師の案内で病棟にいれられ、ガチャンと鍵をおろされた。脳病院でした。自分は狂人、廃人の刻印を打たれる。人間、失格。完全に人間でなくなりました。いまは自分には、幸福も不幸もありません。ただ、一切は過ぎていきます。阿鼻叫喚の人間世界において、たった一つ、一さいは過ぎて行きます。自分は今年二十七になります。
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