第65話 <4ガオン
文字数 4,023文字
ノンカはパヤに追いかけられていた。
パヤはあだ名の通り、ネオ若葉区の陸上大会の小学生の部で4位になった俊足の持ち主だ。
「パヤ! その大嘘つきを捕まえろ!」
とけしかけているのはブル。チンポコブルブルのブルだった。
立ち小便をした後、チンコを大げさにブルブル振るのでこのあだ名がある。
ブルはもともとノンカとは同程度の下っ端で、パヤなんかに命令できるヤツではなかった。
しかしいつの間にか、もといたニュータウン勢からアオチ勢に移籍して、その狡猾さを買われ参謀補佐に治まっていた。
ネオ・チシロ小学校にはアオチ勢の最大派閥の他に新興勢力のニュータウン勢という勢力があった。
アオチ勢。これはアオチを中心に小学校近隣の古い家の子、農家の子たちが寄り集まった集団だ。
ニュータウン勢。
こちらはニシマキを中心にした、ネオ・チシロ小学校があるのとは別の丘陵地に出来た新興住宅地の子たちの集団だ。
ニシマキはアオチに対抗してニュータウン勢のボスになるほどには、体格も良くケンカも強かった。
未だにアオチとのタイマンこそなかったが、トッカンが代理で攻めてきた時はそのぶっとい足で脇腹を蹴り飛ばして撃退した。
トッカンを倒したのは前代未聞だったので、それ以降、ニシマキはアオチ同様アンタッチャブルな存在になっていた。
ただ、ニシマキは普通に呼び名だ。
ニシマキは引っ越して来て間もなく、アオチのような伝説がないのでそのままの呼び名で通っている。
アオチ勢とニュータウン勢。その微妙なパワーバランスの中で、カラスのように行き来するブルは双方の嫌われ者だったが、それ以上にノンカは下らないことですぐ嘘をつくため、嫌われていた。
この追跡劇のそもそもの発端が、ノンカが夏休みについた大嘘だったのだ。
ブルとノンカは夏休みまでは一緒にカブトムシ採りに行く仲だった。
その日も、他の友達2人を加えた4人で相談をした。
「じゃあ、明日6時にシンデ山のクヌギ並木で」
シンデ山は、ネオ・チシロ小学校からすぐ近くの畑地を囲むクヌギ林のことだ。
まずシンデ山のクヌギの木を蹴り回ってから、養護学校の裏山へ移動するのが小学男子の必勝ルートだった。
翌日、6時にシンデ山に現れたブルは友達が来るのを待った。
ところが何分たっても現れない。
1時間待った。
ここらの少年は携帯なんて持たない。ひたすら待つか帰るかのどちらかしかない。
「ノンカがしつこく6時って言ってメモまで持たせたのだものな。日付だって合ってる」
さらに1時間待った。
もう日が高くなってじりじりと暑くなってきた。
さすがにこれはおかしいと思って、養護学校の裏山に移動した。
そこでブルは裏山から降りて来たノンカ一行に出あう。
ノンカの虫かごにはカブトムシやらクワガタがいっぱいになっている。
「なんだよ。先に行くことはないだろ」
と言ってノンカを詰問すると、他の友達が、
「いまごろ遅いよ。5時って約束だったじゃん」
と言ったのだった。
そうしてやっとブルはノンカにはめられたことに気付く。
「わざと違う時間を教えやがったな!」
そこで殴り合いのケンカが始まったのは言うまでも無い。
どうしてノンカはそんな嘘をついてブルをはめたのか?
理由があった。
遡ることさらに3ヶ月。
ブルとノンカは一緒に下校していた。
ニュータウンの通学路は畑の中の一本道だ。一時間はかかる。
小学男子はその道を、畑の里芋の葉を笹で作った鞭で切り倒したり、道端のスカンポをむしって食べたりしながらゆるゆると帰る。
ところが今日はノンカがスタスタを先を急ぐように歩いて行く。
なんだか顔色も悪い。
ニュー死神十字路に来た時だった。もちろんその名は元の死神十字路に倣って付けられたモノで、ここで小学男子の帰る道が分かれる。
その十字路のど真ん中でノンカが腰を引き気味になって、ブルに言った。
「ウンコしたい」
ノンカやブルの家があるノースタウンまではまだ半分も来ていなかった。
「我慢しろよ」
といって、しばらくすすんだ。
ところが、今度は紫色の唇をしたノンカが道端に蹲って、
「ウンコしたい」
と再び訴えたのだった。
もう、我慢しろとは言えなかった。
ノンカがおけつの穴がゆるいやつだと思い出したからだ。
「じゃあ、ここで野ぐそしろ」
と言ったのだが、ノンカは自分の緊急性も顧みず、
「やだよ。ブルいいふらすじゃんか」
と言った。
下校の時、野ぐそした。
そんなことが学校に知れたら小学男子は終わりだ。
その日から野ぐそというあだ名がつけられてしまう。
もう生きてはいけない。
ウンコヨージの二の舞になるのはまっぴらだった。
このままでは家に帰り着かない。
そう思ったブルは提案をする。
「俺も一緒に野ぐそする。それならいいだろ」
それを聞いたノンカは一気にズボンを下ろして溜まったものを放り出したのだった。
ところが、そんなに急には催さないブルはパンツは下げたが何も出なかった。
「これで共犯だ。絶対い言うなよ」
と言いながら、おけつも拭かずにズボンをはくノンカ。
後尻に匂いを引きながら、すっきりした顔で家路についたのだった。
次の朝、ノンカが教室に入ると黒板に大きく、
「祝! 野ぐそノンカ!」
とピンクと黄色のチョークで花まで散らして大書されていた。
それを書いたのはもちろんブルだ。
「ブルてめー! お前だって」
とノンカが詰め寄ると、
「残念でしたー。俺は出ませんでした!」
とベロベロバーしたのだった。
幸いノンカは調停に入ったニシマキによって野ぐそのあだ名だけは回避できたが、下校時にしたことは全校に知れ渡ってしまった。
これがノンカが嘘をついた動機だ。十分すぎる理由だろう。
その時ニシマキが、
「ブルが悪い」
と言ったものだから、一気にブルの旗色が悪くなってしまった。
ブルがアオチ勢に移籍したのは、この時のニシマキの裁定が理由だった。
それで大方は治まったかに見えた。
ところがノンカの腹は治まらなかった。
3ヶ月も経ってブルさえ忘れたころを見計らい、だまし討ちを敢行したのだ。
それが、カブトムシ時間欺し事件だった。
さて、パヤに追いかけられたノンカはどうなったか。
造成中のニュータウンの空き地のど真ん中でパヤに掴まり、その場に引き倒された。
ノンカの目には雑草の生い茂る地面があった。
そしてそこにヒバリの巣があってねずみ色の卵が日にさらされていた。
そういえば空でピーチクパーチク言ってるな。
なんてことを考えていたノンカが見上げると、すでにブルがそこに立っていて、
「嘘つきはヌマオの刑だ」
と言ったのだった。
ヌマオの刑とは、簀巻きにしてヌマオが出そうな場所に1時間放置することだ。
1時間過ぎれば、無罪放免。許される。
パヤは何故かいつも紅白の長い鉢巻きをしていた。
パヤとブルとで泣きじゃくるノンカを立たせると、
パヤはするすると鉢巻きを外し、ノンカの両手首を束ねて縛り上げ、ボーヤツへと引っ立てて行ったのだった。
今回のはスズメよりも断然すばしっこかった。
竹の間をするすると逃げ回り、なかなか掴まえることが出来なかった。
ヌマオはそれをツバメと呼ぶことにした。
ツバメさんよ。お待ちなよ。もうそっちはエーフク寺のなまこ壁しかないよ。
行き止まりだ。
ツバメは壁を背にこちらを睨み付けている。
後ろは、いくらツバメでも飛び越えられないほどの高い壁だ。
ヌマオのターバンくらいの高さだから。
「必殺ベルト・バッチン!」
効かなかった。横に飛んで逃げられた。
その時ヌマオはようやく気がついた。
このツバメには足がある。どうやらその足に自信があるらしかった。
しかし足があるなら足を止めれば捕まえられる。
「ゲロジ噴射!」
ヌマオは口をいっぱいに開けて嘔吐した。
周囲に生臭くて酸っぱい匂いが立ちこめる。
ところがツバメは全て避けた。
それでもヌマオはゲロジ噴射を続ける。
しつこいくらい噴射し続けたあと、大声を上げた。
するとツバメは一瞬ビクッとなったあと思い出したように駆けだした。
しかし、ツバメはそこでヌマオに捕まってしまう。
ヌマオの吐瀉物に足を滑らして転んでしまったからだった。
捕まえた後もツバメは足をじたばたとさせて抵抗した。
それをヌマオは胴体を羽交い締めにして気絶させて、ゆっくりと丸呑みにした。
その前、最初に捕食したのはスズメだった。
「パヤ! 逃げろ」
とツバメに向かって訳の分からない言葉を叫んでいたところを、
「トッカーーーーン!」
と体当たりを喰らわし気絶したところを丸呑みにした。
で、残りの足下でもぞもぞと蠢いている、スズメぐらいの生き物をどうするか?
「僕は毒虫だから食べるとやばいよ」
なんて言っている。
毒虫という言葉は昔よく耳にしたことがあった。
ヌマオが最初に喰ってやった連中がヌマオのことをいつもそう言っていたからだ。
たしかあの連中は自分たちのことを母親だとか父親だとか兄弟姉妹だとか言っていた。
でも食べたらどれも同じ味がしてがっかりしたのを覚えていた。
毒虫か。ならこいつも自分と同類なのかもしれない。
そう思うと、とても愛おしくなったので大事に抱え上げると、
丸呑みしてやった。
旨かった。
ツバメ、スズメ、毒虫また来ないかな。
---------------------------------------------------------------------------
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
今回はブル(スズメ)とノンカ(毒虫)とパヤ(ツバメ)でした。
パヤはブルとノンカの確執に巻き込まれた形でちょっと可哀想でもあります。
そしてそれらを等しく呑み込むヌマオ。
呑み込んだモノを吸収して自分の能力を高めていきます。
やっぱり怪物です。
本当に品のない描写満載で申し訳けありません。
気分を害された方、もうしばらくお待ちください。
ヌマオがネオ・チシロ小学校生を全員呑み尽くしたら、くるみたちの登場ですので。
今後とも『血のないところに血煙は立たない』をどうかよろしくお願いします。
真毒丸タケル
パヤはあだ名の通り、ネオ若葉区の陸上大会の小学生の部で4位になった俊足の持ち主だ。
「パヤ! その大嘘つきを捕まえろ!」
とけしかけているのはブル。チンポコブルブルのブルだった。
立ち小便をした後、チンコを大げさにブルブル振るのでこのあだ名がある。
ブルはもともとノンカとは同程度の下っ端で、パヤなんかに命令できるヤツではなかった。
しかしいつの間にか、もといたニュータウン勢からアオチ勢に移籍して、その狡猾さを買われ参謀補佐に治まっていた。
ネオ・チシロ小学校にはアオチ勢の最大派閥の他に新興勢力のニュータウン勢という勢力があった。
アオチ勢。これはアオチを中心に小学校近隣の古い家の子、農家の子たちが寄り集まった集団だ。
ニュータウン勢。
こちらはニシマキを中心にした、ネオ・チシロ小学校があるのとは別の丘陵地に出来た新興住宅地の子たちの集団だ。
ニシマキはアオチに対抗してニュータウン勢のボスになるほどには、体格も良くケンカも強かった。
未だにアオチとのタイマンこそなかったが、トッカンが代理で攻めてきた時はそのぶっとい足で脇腹を蹴り飛ばして撃退した。
トッカンを倒したのは前代未聞だったので、それ以降、ニシマキはアオチ同様アンタッチャブルな存在になっていた。
ただ、ニシマキは普通に呼び名だ。
ニシマキは引っ越して来て間もなく、アオチのような伝説がないのでそのままの呼び名で通っている。
アオチ勢とニュータウン勢。その微妙なパワーバランスの中で、カラスのように行き来するブルは双方の嫌われ者だったが、それ以上にノンカは下らないことですぐ嘘をつくため、嫌われていた。
この追跡劇のそもそもの発端が、ノンカが夏休みについた大嘘だったのだ。
ブルとノンカは夏休みまでは一緒にカブトムシ採りに行く仲だった。
その日も、他の友達2人を加えた4人で相談をした。
「じゃあ、明日6時にシンデ山のクヌギ並木で」
シンデ山は、ネオ・チシロ小学校からすぐ近くの畑地を囲むクヌギ林のことだ。
まずシンデ山のクヌギの木を蹴り回ってから、養護学校の裏山へ移動するのが小学男子の必勝ルートだった。
翌日、6時にシンデ山に現れたブルは友達が来るのを待った。
ところが何分たっても現れない。
1時間待った。
ここらの少年は携帯なんて持たない。ひたすら待つか帰るかのどちらかしかない。
「ノンカがしつこく6時って言ってメモまで持たせたのだものな。日付だって合ってる」
さらに1時間待った。
もう日が高くなってじりじりと暑くなってきた。
さすがにこれはおかしいと思って、養護学校の裏山に移動した。
そこでブルは裏山から降りて来たノンカ一行に出あう。
ノンカの虫かごにはカブトムシやらクワガタがいっぱいになっている。
「なんだよ。先に行くことはないだろ」
と言ってノンカを詰問すると、他の友達が、
「いまごろ遅いよ。5時って約束だったじゃん」
と言ったのだった。
そうしてやっとブルはノンカにはめられたことに気付く。
「わざと違う時間を教えやがったな!」
そこで殴り合いのケンカが始まったのは言うまでも無い。
どうしてノンカはそんな嘘をついてブルをはめたのか?
理由があった。
遡ることさらに3ヶ月。
ブルとノンカは一緒に下校していた。
ニュータウンの通学路は畑の中の一本道だ。一時間はかかる。
小学男子はその道を、畑の里芋の葉を笹で作った鞭で切り倒したり、道端のスカンポをむしって食べたりしながらゆるゆると帰る。
ところが今日はノンカがスタスタを先を急ぐように歩いて行く。
なんだか顔色も悪い。
ニュー死神十字路に来た時だった。もちろんその名は元の死神十字路に倣って付けられたモノで、ここで小学男子の帰る道が分かれる。
その十字路のど真ん中でノンカが腰を引き気味になって、ブルに言った。
「ウンコしたい」
ノンカやブルの家があるノースタウンまではまだ半分も来ていなかった。
「我慢しろよ」
といって、しばらくすすんだ。
ところが、今度は紫色の唇をしたノンカが道端に蹲って、
「ウンコしたい」
と再び訴えたのだった。
もう、我慢しろとは言えなかった。
ノンカがおけつの穴がゆるいやつだと思い出したからだ。
「じゃあ、ここで野ぐそしろ」
と言ったのだが、ノンカは自分の緊急性も顧みず、
「やだよ。ブルいいふらすじゃんか」
と言った。
下校の時、野ぐそした。
そんなことが学校に知れたら小学男子は終わりだ。
その日から野ぐそというあだ名がつけられてしまう。
もう生きてはいけない。
ウンコヨージの二の舞になるのはまっぴらだった。
このままでは家に帰り着かない。
そう思ったブルは提案をする。
「俺も一緒に野ぐそする。それならいいだろ」
それを聞いたノンカは一気にズボンを下ろして溜まったものを放り出したのだった。
ところが、そんなに急には催さないブルはパンツは下げたが何も出なかった。
「これで共犯だ。絶対い言うなよ」
と言いながら、おけつも拭かずにズボンをはくノンカ。
後尻に匂いを引きながら、すっきりした顔で家路についたのだった。
次の朝、ノンカが教室に入ると黒板に大きく、
「祝! 野ぐそノンカ!」
とピンクと黄色のチョークで花まで散らして大書されていた。
それを書いたのはもちろんブルだ。
「ブルてめー! お前だって」
とノンカが詰め寄ると、
「残念でしたー。俺は出ませんでした!」
とベロベロバーしたのだった。
幸いノンカは調停に入ったニシマキによって野ぐそのあだ名だけは回避できたが、下校時にしたことは全校に知れ渡ってしまった。
これがノンカが嘘をついた動機だ。十分すぎる理由だろう。
その時ニシマキが、
「ブルが悪い」
と言ったものだから、一気にブルの旗色が悪くなってしまった。
ブルがアオチ勢に移籍したのは、この時のニシマキの裁定が理由だった。
それで大方は治まったかに見えた。
ところがノンカの腹は治まらなかった。
3ヶ月も経ってブルさえ忘れたころを見計らい、だまし討ちを敢行したのだ。
それが、カブトムシ時間欺し事件だった。
さて、パヤに追いかけられたノンカはどうなったか。
造成中のニュータウンの空き地のど真ん中でパヤに掴まり、その場に引き倒された。
ノンカの目には雑草の生い茂る地面があった。
そしてそこにヒバリの巣があってねずみ色の卵が日にさらされていた。
そういえば空でピーチクパーチク言ってるな。
なんてことを考えていたノンカが見上げると、すでにブルがそこに立っていて、
「嘘つきはヌマオの刑だ」
と言ったのだった。
ヌマオの刑とは、簀巻きにしてヌマオが出そうな場所に1時間放置することだ。
1時間過ぎれば、無罪放免。許される。
パヤは何故かいつも紅白の長い鉢巻きをしていた。
パヤとブルとで泣きじゃくるノンカを立たせると、
パヤはするすると鉢巻きを外し、ノンカの両手首を束ねて縛り上げ、ボーヤツへと引っ立てて行ったのだった。
今回のはスズメよりも断然すばしっこかった。
竹の間をするすると逃げ回り、なかなか掴まえることが出来なかった。
ヌマオはそれをツバメと呼ぶことにした。
ツバメさんよ。お待ちなよ。もうそっちはエーフク寺のなまこ壁しかないよ。
行き止まりだ。
ツバメは壁を背にこちらを睨み付けている。
後ろは、いくらツバメでも飛び越えられないほどの高い壁だ。
ヌマオのターバンくらいの高さだから。
「必殺ベルト・バッチン!」
効かなかった。横に飛んで逃げられた。
その時ヌマオはようやく気がついた。
このツバメには足がある。どうやらその足に自信があるらしかった。
しかし足があるなら足を止めれば捕まえられる。
「ゲロジ噴射!」
ヌマオは口をいっぱいに開けて嘔吐した。
周囲に生臭くて酸っぱい匂いが立ちこめる。
ところがツバメは全て避けた。
それでもヌマオはゲロジ噴射を続ける。
しつこいくらい噴射し続けたあと、大声を上げた。
するとツバメは一瞬ビクッとなったあと思い出したように駆けだした。
しかし、ツバメはそこでヌマオに捕まってしまう。
ヌマオの吐瀉物に足を滑らして転んでしまったからだった。
捕まえた後もツバメは足をじたばたとさせて抵抗した。
それをヌマオは胴体を羽交い締めにして気絶させて、ゆっくりと丸呑みにした。
その前、最初に捕食したのはスズメだった。
「パヤ! 逃げろ」
とツバメに向かって訳の分からない言葉を叫んでいたところを、
「トッカーーーーン!」
と体当たりを喰らわし気絶したところを丸呑みにした。
で、残りの足下でもぞもぞと蠢いている、スズメぐらいの生き物をどうするか?
「僕は毒虫だから食べるとやばいよ」
なんて言っている。
毒虫という言葉は昔よく耳にしたことがあった。
ヌマオが最初に喰ってやった連中がヌマオのことをいつもそう言っていたからだ。
たしかあの連中は自分たちのことを母親だとか父親だとか兄弟姉妹だとか言っていた。
でも食べたらどれも同じ味がしてがっかりしたのを覚えていた。
毒虫か。ならこいつも自分と同類なのかもしれない。
そう思うと、とても愛おしくなったので大事に抱え上げると、
丸呑みしてやった。
旨かった。
ツバメ、スズメ、毒虫また来ないかな。
---------------------------------------------------------------------------
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。
今回はブル(スズメ)とノンカ(毒虫)とパヤ(ツバメ)でした。
パヤはブルとノンカの確執に巻き込まれた形でちょっと可哀想でもあります。
そしてそれらを等しく呑み込むヌマオ。
呑み込んだモノを吸収して自分の能力を高めていきます。
やっぱり怪物です。
本当に品のない描写満載で申し訳けありません。
気分を害された方、もうしばらくお待ちください。
ヌマオがネオ・チシロ小学校生を全員呑み尽くしたら、くるみたちの登場ですので。
今後とも『血のないところに血煙は立たない』をどうかよろしくお願いします。
真毒丸タケル