第31話 再びの悪夢

文字数 245文字

 僕は、再び悪夢に悩まされるようになった。学校でいじめられる夢ではない。あの女の夢だ。
 あの女はいつも、突然ドアを開けて、ずかずかと部屋に入って来る。
「ボクちゃん、大きくなって」
 そう言いながら、ベッドのすぐそばまでやって来る。
「ボクちゃん、お母さん、会えてうれしいわ」
 白い肌。貧相な体つき。目を見開いた、狂気じみた笑顔。
「ボクちゃん」
 女は、笑顔を張りつかせたまま、両腕をこちらに伸ばして来る。身動き出来ずにいる行彦の体に、細い両腕が絡みつく。
「やめろ!」
 僕は、汗みずくで飛び起きる。
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