第14話 顔色
文字数 295文字
大事なことを聞くのを忘れてしまった。そう気がついたのは、夜明け前の道を、家へ帰る途中だった。
まあいい。どうせ今夜もまた、行彦に会いに行くのだから。そして、すぐに心は、先ほどまでの甘い時間へと戻って行く。
行彦と交わした、長く官能的なキス。行彦の細い首。パジャマの襟元からわずかにのぞく、白い肌……。
朝食のときに、母が言った。
「伸。最近、少し顔色がよくないんじゃない?」
「そう?」
「体調はどう?」
「元気だよ」
「何か心配事は?」
「全然」
伸は笑って見せる。毎日、いたって快適だ。最近は、なぜか松園たちの嫌がらせも鳴りを潜めているし、何より、毎晩、行彦に会える。
「それならいいけど……」
まあいい。どうせ今夜もまた、行彦に会いに行くのだから。そして、すぐに心は、先ほどまでの甘い時間へと戻って行く。
行彦と交わした、長く官能的なキス。行彦の細い首。パジャマの襟元からわずかにのぞく、白い肌……。
朝食のときに、母が言った。
「伸。最近、少し顔色がよくないんじゃない?」
「そう?」
「体調はどう?」
「元気だよ」
「何か心配事は?」
「全然」
伸は笑って見せる。毎日、いたって快適だ。最近は、なぜか松園たちの嫌がらせも鳴りを潜めているし、何より、毎晩、行彦に会える。
「それならいいけど……」